『 ハリ―・ポッターの < あばれ柳 > ・・・。』 と思ってしまいましたが、西蓮寺の梅です。    伸び放題の自由な梅です。

  『 あの梅、○○さんに頼んで切ってもらう。 』 ・・・母
  『 は~?  なんで? 切り倒す? 』 ・・・私
  『 側を通ると当たって痛いし、あそこにあっても誰も見んし。 』 ・・・母
  『 ・・誰も・・・・。 』

 以前から剪定してくれと頼まれていたのを ほっといた私が悪いんでしょうが。
まさかそこまで思いつめていたとは・・。
 しかし、≪ 誰も見ない ≫ で切り倒されるなんて、あってはならない事。 ここまで大きくなるには大変な時間が・・。  色んな事があったことでしょう。

 26日、京都に出る前にがんばって、刈り込んでみました。  遅ればせながら。
『 この梅の木がここに無くなると、訪ねてきた鶯になんと説明しましょう。 』
 という歌を詠んで、梅を護ったひとの話を聞いた事があります。 ( 紀貫之の娘でした?ちがいました? )

 切った中からのひとつを玄関に飾ってみました。  中々 気に入ってるるんですが。
 果たして、一週間後に帰った時に< 梅 >の木は無事立っているでしょうか。

  どなたか歌を詠んで老母に届けてやって下さいませんか?

  20数年、表具をしてきて、やった事のない仕事はあります。 勿論ですが。

 不思議なものでこのところ重なってやって来たのが ≪ 野点傘 ≫ の修複。
広げると2メートルはある朱色のあれです。 飾り糸の美しい立派なもの。
ひとつは全面修複。 飾り糸を全て外し、骨を開き新しい和紙を張り込み、油を塗り飾り糸を編み込み・・・。  知識も経験もないので、わたしひとりで出来るはずもなく、助っ人を頼み蘇りました。
 実にいい勉強になりました。

 そして、なぜか又やって来ました。 今度は大掛かりにはせず、部分修複との事で。
破れた箇所を目立たぬ様に直し、折れた骨部分を直すというもの。 破れているでしょ?  これを
 なんとか・・なんとか・・目立たぬように・・。
                    こんな感じでご勘弁を。   折れた骨も 金具で補強してこんな感じに。 

 仏前結婚式に使われるということです。  あそこですね、あそこ。  あそこで使われるんですから少々の無理をしてでも・・・・。    
                       させて頂きました。 
                             ご用命、ありがとうございました!

   百代という大きさの阿弥陀如来絵像軸。( 竪・51、5cm × 横・18,2cm )
 数十年前、本願寺から受けられたほとんど傷みの無い御軸。 新しくお仏壇を迎えられたのでしょうか、この度この御軸を下される事になったと。
 それでも、何年も手を合わさせて頂いた大事なご本尊。 形を( 三つ折り )に変え、持ち歩き出来る様にしてほしいとのご依頼。 高さも30cmにとのご指定。  ( 裏書き )も大事なので、どこかに付けてほしいと。  持ち歩きで擦れてしまってはいけないので、ここしか考えられません。

 旅行等で宿泊される時もお部屋でお勤めできますね。  ・・・もちろん市販されている( 三つ折り本尊 )も色々な大きさのものがあり、はるかにお求めしやすいでしょう。 ( ご本尊に、高い安いと金額で考えるのは恥ずかしい事ですが・・。 )
 かなり高くついても ( また言ってしまいました ) この絵像を! と言われるお心に共鳴いたします。 世界にひとつしかないご本尊と仕上がりました。  

 ちなみに。
絵像のまわりの裂地の間に水色(浅黄色)と黄色の細いスジがありますね、見えますか?
あれだけ細くとも正絹裂地を裏打ちして廻してあるのですが、本願寺派(西本願寺)ではこの2色。 大谷派(東本願寺)では、水色(浅黄色)と紺色の2色が正式なものと決まっています。
              お仏壇があれば、覗いてみて下さい。 ・・・覗く・・失敬致しました。
 
 

西蓮寺十七代住職釈知浩

古書画保存修復師

緑に囲まれた山寺

  春 鳥の声、 夏 蝉の声
   秋 虫の声、 冬 雪の声
 
     ようこそ ようこそ 

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