10月20日から三週間以上ずっと西蓮寺に居ります。住職を<住んでいる職>というなら、ここのところ住職です。普段は行ったり来たり出たり入ったりですから<不住職>でしょうか。不徳のいたすところ。

10月29日には半分位の紅い姿を見せていた裏山の樹も、 今日11月12日には随分誇らしく姿を変えました。時間の流れを感じます。
このところ、ご門徒さまのお家に報恩講参りさせて頂いております。みなさまお荘厳を整えて丁寧にお迎えであります。いろんなお姿と出遇わせていただきますが、憶えておられるでしょうか≪ 住職あれこれ ≫の2011年11月6日書き込みの <赤いケーキ> のお姫さま2人。

あれから7年です。今年も一緒にお参りしてくれましたが、なんと2人でお抹茶の接待をしてくれました。・・・・感慨深く時間の流れを感じつつ、姿を見つめます。 ありがとう。

そして『娘ふたりの仕事が休みの日に来てくださいね。一緒にお参りしたいですから。』と仰ってくださっていたお家。ご近所のお友達にもお声をかけて頂いていて、さながら法座のような賑わい。住職、嬉しさのあまり心なしかお話にも力がこもります。 いや、けっして人数ではありませんが、そこは凡情としてこもってしまっていたでしょう。 お家からとは別に娘さんお二人の連名で包みをかえたお布施まで頂戴してしまいました。  恐縮のかぎり。

それぞれのお方がそれぞれの 心のこもった 報恩講お迎え。 この座布団に座らせていただいたのはついこの間のように感じつつ、 ご一緒にお勤めさせていただく度に、『 今年もご一緒させて頂きました 』とご挨拶してひと言のお話をはじめます。

今年も報恩講を迎える事が出来ました。 
ご門徒さま方と共に、そして遠くは岡山から近くは西蓮寺門徒さまではない有縁のお方々と共に。

何日も前からのお心配り頂いての事。仏具お磨き、本堂並び境内地清掃、お斎野菜物ご持参。
そして当日参集下さった皆さま、ご出勤のご法中、 ご講師先生。この日一日のこととはいえ多くのお力添えあっての事と感謝の限りです。 

二年ぶりのお越し頂いた先生のお話。
小林一茶の一句 ≪ 猿も来よ 桃太郎来よ 草の餅 ≫。  先生、なんとこの句は一茶が鬼の心持ちで詠んだ句と。 どういう事かとお聞きするうちに、そうとしか読めなくなってしまいました。 鬼は真宗門徒であったと(笑)。  なるほど。

世の中様々な事ございますが、自分が立っている立場によってしか受け止められません。 それが決してすべてでは無く、どうあっても正しいという事でも無いのだという事に思いを致さねばなりません。  よしよし苦労したがこれで何とかこれで良し、としているその横で悲しく悔しくそっと誰にも見えぬように泣いているひとがいるかも知れません。

立場は違えど同じものを抱えているわたし達である、と怨親を超えて同じ場所に座り同じお話を聞かせて頂く場所が『俱会一処』のこの本堂でありたいものです。

帰入功徳大宝海 

もう半月もたってしまいました。9月17日、日帰りで東京へいってまいりました。用件はふたつ、ひとつは仕上がった掛軸を築地本願寺まで届けるという事。今ひとつは数年会っていない友人に借りていたものを返すという事。

東京は40年ぶりです。高校生の時上野公園内の美術館に美術部員らと行ったきりですから、街が変わったかどうかも全く分かりません。以前の姿を何ら覚えていないのですから。

築地本願寺での用件を終えて本堂にお参りに入ると、≪ 声なき声に耳を澄ます ≫と題して俳優の小木戸利光さんの講演が始まるところでした。ロシア連邦サハリン州の残留日本人について何故どのようにして残留されたのかを分かりやすくお話され、また実際サハリンへ訪ねて行かれた時のそのインタビュー音声を聞かせて頂きました。 
サハリン・・・。 故郷に帰れなかった方の声を、その土地ならではの事情を知らなかった私に聞かせて頂いたこともですが、何より思ったのは。 
レコーダーから流れる声、はっきり聴きとれないほど歳をとられた方の言葉。その日の様子を細かく細かく語られる、その時の心情を詳しく語られる声。  聞いてくれるひとがいなかったであろう事を思いながら、今 聞いてくれるひとがいて、胸の奥深くに沈めてあった思いが言葉となって出せたのではなかろうか・・・と。 聞くという事の大きな力を思いました。
違うかもしれません。的はずしのことかもしれませんが、たまたま座ったご縁、お聞きしながら思いました。

そして、もうひとつの用件。彼が働く六本木ヒルズビル。 この西蓮寺ホームページの土台を作ってくれた徳山氏。 一番古い書き込みの『住職あれこれ』に登場している彼は、その後色々な道を歩み今はこのビルの最上階にある《森美術館》のキュレーターです。 この日は彼が企画し何年もかけて日本中どころか海外の建築士とも出会いを重ねて結実した展覧の最終日せした。
『 栗山さん、もし来られるならジックリ案内しますよ。いい企画なんです。 』と言ってくれていたように、企画した本人の説明をジックリ2時間聞きながら回りました。  なんて贅沢なことなんでしょう。最終日とあってか夕方にもかかわらず入場には長蛇、わたしに説明してくれるあまりによく知っている興味深い彼の声に気付いた廻りのひとが、聞き耳を立ててそれとなく付いて歩く上手な人も。

あと、彼と久々にゆっくりと一杯。  話題は奔放。  いつも学ぶこと多き彼との時間。最後は右も左も分からない私を新幹線口まで送ってくれました。  九拝。

展覧会場に入る前に屋上に案内してくれました。 53階ビル。

なんとまあ・・見渡す限りどこまでも平野でビルビルビル。 山がない。
すごいなあ・・と思います。 なんと人間のする事はすごいなあ・・。





西蓮寺に縁側に座って山・虫・緑・蜘蛛の巣を見て思うのは、  
< なんと、自然ってすごいなあ・・・・。 >  

住職釈知浩 (栗山知浩)

平成14年・西蓮寺十七世住職継職
古書画保存修復表具師でもあり、島根と京都行ったり来たり。

山に囲まれた小さなお寺。
たまに人が集まり、タヌキも集まり…
あなたもそこに仲間入り、ようこそ。

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