京都市立芸術大学のこの作品展にむけて日本画模写作品の裏打ち額パネル張り込み実習に数日通いました。 表装裏打ちに詳しい先生はもちろんおられますが、わたしは大きな作品を手掛けている学生の指導というか手助けというか・・。学生、前もって糊炊きして紙取りしての準備万端の上ですが何せ大きな作品。 紙は水で伸びるし絹は縮むしひとつの作品に一日中かかります。 当然途中様々なトラブルあり長い長い時間をかけて描いてきた作品が果たしてこの先大丈夫なのかという不安と緊張の学生さんの表情を横にしながら格闘します。 何とか上手くいく事を念ずるばかりにてわたしも刷毛をさばきます。       表具屋になるわけではなく画家絵師になられる方々で、また今画家絵師である方々ですが、作業中の表装四方山話はいつか何かにはなって頂けると思いながら。

わたしの携わる作業は終わってからも細かいところはそこから何日も筆を加えられて作品展示の日を迎えられます。        あれから一体どうなったか・・どのように描き加えられて変わったか・・楽しみで楽しみで大学・京都市美術館の2会場に足を運びました。
数多く作品ある中でも、ご縁あった作品は光り輝いてグイっと前に出て来ます、 やはりそうです。そして驚かされました。あれからこんなに変わったのかと。どれだけ集中してコンを詰めて向き合ってこられたのかと。近づいて見つめ離れて見つめ近づいて見つめ・・みんな手元に置いておきたいくらいの画々を見届けて帰りました。

してわたしはまた、自宅工房にてひとり。若き方々のパワーを思い出しながら、老眼と付き合いながら、修復作業に精出します。

新しい年を迎えました。大きく揺れ動いた昨年であったからこそ今年、穏やかな年である事を願います。
年賀状に「阿修羅」の姿を描きました。 
阿修羅像で有名なのは奈良・興福寺の阿修羅像。三つの顔・六本の手という不思議な姿、正面の顔は少年が何か深く悩んでいるように眉をひそめています。お寺を出て美術館に立たれると一目を求めて長蛇の列が出来る人気ある像です。 

説によれば、仏法を守る「帝釈天」軍と戦い続けている三面六臂の「阿修羅」一族。その王、阿修羅王。あまりに永く戦い続けている為に一体何が原因でこの戦いが始まったのか分からなくなっている苦悩をあらわしているのが、興福寺の阿修羅像の表情と。 

仏法で説かれる六つの迷いの世界「六道」のひとつの『修羅』でもあります。
争いに明け暮れる世界。自分の思い通りにならない事ばかり。何もかも気に入らない事ばかり。何が原因か知らないけど腹が立つ・・・わたしが「修羅」になっている時です。ひとからはきっと修羅に見えています。 

せっかく六本も「手」があるんです、素晴らしい事です。「手はこころ」と以前も書きました。手という文字がつく言葉はそれを「こころ」と置き換えられます。手紙・・こころのこもった紙、手弁当・・誰かを思って作ったお弁当、手伝う・・こころ寄り添わせ一緒に、手助け・手を貸す・手を尽くす・・・・。  そして手を合わす・・こころをひとつに合わせる。 

人と人が出会うのがはばかられる世情。出会いたくても出会えない。
人を疑いの目、裁く目で見てしまう世情。裁かれる、疑われる。

合わせる手、さし伸べる手は 何本でも持っていたいものです。

近況。
ご縁頂いて京都芸術大学に招聘講師として伺う事になりました。表具師として頂いたお話、4日の午後まずは90分ばかり20人の日本画専攻の学生方に「表具あれこれ話」。
実際見てもらった方が楽しいかと思い特徴ある掛軸を数幅持参いたしました。
最初の概要説明では少々退屈そうだった(?)学生も、実際に現物を見ながら「何をどう考えて裂地を選び、寸法を決めるのか。それにより画の見え方がどう変わるのか。」という話には眼差しに輝きの違いが見受けられました。    これから描き続けられる中で額装は茶飯事でしょうし、ひょっとしたら軸装される事もあるでしょう。  この時間が方々の何らかになる事を願います。
今後、制作されつつある大作数点の裏打ち実習に入ります。  よろしくお願いいたします。

話変わりまして、もひとつ近況。
かねて依頼していた『華葩』、スケルトンの華葩。両手で温めるとユックリ花びら状に曲がってくる華葩。  金珉氏にデザイン依頼していたものがやっと韓国から届きました。

十年以上前に制作した時、人気のあった「花びら蛙」はリクエストしておりました。 そして彼の画集で見た「小鹿」も。 ≪鹿野苑≫謂れを浮かべながら。 (鹿野苑、釈迦四大聖地のひとつ・さとりを開かれた後最初に法を説かれた地=サールナート。 ちなみに四大聖地とは、〇ルンビニー<お生まれの地・生誕地> 〇ブッダガヤ<おさとりを開かれた地・成道地> 〇サールナート<最初に法を説かれた地・初転法輪地> 〇クシナーガラ<ご往生の地・涅槃地>) 

数枚づつ入れる簡単な袋も頼んでおいたら、なんと珉氏 封筒デザインまでして送ってくれました。折り紙の「船」を描いてくれました。なぜこれを描こうとしてくれたのか・・また、出会った時に聞いてみたいものです。 そして封筒のこのしっかりした素材に驚き喜び。 

さて、これから如何いたしましょうか。色々考えてはありますが・・上手に扱いたいものです。 

西蓮寺十七代住職釈知浩   古書画保存修復師

山に囲まれ狸がお参り・・・
そこにあなたも仲間入り・・・
   ようこそ ようこそ。

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