今日はお参りもなく、表装仕事も乾燥を待つのみと言う訳で、掃除三昧と決めました。

庫裡、本堂掃除機がけ。 本堂の縁側・庫裡廊下雑巾がけ。 本堂の畳雑巾がけ。 内陣拭き上げ。 え~い、ついでにお風呂も・・。
    まあ、掃除は住職のごく当然のお仕事なので、別段 誇らしくいうまでの事はなく。
普段あまり出来ていない事を恥じながら・・・で、あります。

 それは置いといて。
2週間ばかり前、頼まれ事があったのを思い出しました。
 『 ご院家さん。 うちの真鍮仏具、この度わたしのやり方が悪かったのか、こんな黒ずんでしまったんですけど・・・どうにかなりませんか? 』

 ・・・色んな事を頼まれる < スーパーお坊さん >、『 う~ん、どうかねえ・・。 ピカールで磨いてもこれはダメじゃろうねえ。 ま、預かってみようか。 綺麗になったら褒めてよ。 』

 と、預かっていた仏具。
磨いてはあるのですが、黒ずみ、緑色やピンクのところもあります。

 実は父が遺産?として残していった≪ 魔法の液体 ≫がありまして。
どこでどう求めたか・・。 何というものか・・。
   ダメだろうなあ、と思いながらも漬け置く事 1時間。 

 『 おお~! これぞ真鍮の輝きに戻っている! 』   ( で、ない部所もありはしますが。 )

 すんばらしい!
     ありがとう、父上。

            さあ、ホメてもらいに行ってこようっと!

 27日夜帰山。
例の超大幅、京都で作業を進め、この度又持ち帰りもう一度霧吹き・水で湿して仮張り板に張り込み。   5月1日に本堂を使うので、本堂後ろの部屋にて。  部屋いっぱい・・・。
 何度も水をくぐらせ、湿度豊富なこの国に掛けても曲がり反りのない軸に育てあげます。
        やっと、イイ感じになってきました。

 今日は、隣寺・常福寺さまの永代経法要出勤。  座敷から眺める石庭。 立派です。   

西蓮寺に帰り、ふと見れば表庭の< 白藤 >が、 『 さあ、こっから一気に咲きますよ! 』 と言っています。  裏に廻りながら春を探せば花々が。    桜は、新しい緑をまとい< 若さ >をアピール。

               はいはい、そうですね。   西蓮寺の庭もニギやかですよ。

 『 ・・・入らなかったら、レンタカーにしなくては・・。 』
恐る恐る訪ねた下京区のお寺。

 本堂を改築した時新調して以来、仕舞いこんで殆ど立てていない≪ 襖 ≫。
下がり藤紋・雲母押しの≪ 襖 ≫。
引き取りに来るならあげる、いらないなら処分すると。   それは勿体ない!
 何かに使える。  ニ曲屏風にも出来る。 なんなら学生の大きな作品のパネル土台にも出来る。  『 頂きます! ちなみに何センチありますか? 』 

 お寺のものなので< 180cm×122cm >と大き目との事。
大抵のものを運べる様に ( 普段は無駄に大きい車に乗っていると冷ややかに見られていると知りながらも乗っている ) 大きい荷台の車だが、122cmか・・・・斜めにして入れればギリギリいけるか・・。   とりあえず一枚入れてみる。    ・・入らない。

 諦めてレンタカーで出直すか・・いや。  勿体ない。  ほんの数cmだ。  ( 住職が見つめる中しばらく悩む。 )

 よし! 『 木槌ありませんか? 縦縁を外してみます。 』  『 なるほど。 』
カン・コン・カン・コン・・・なんとかうまく片方外れた。   どうだ。  ・・入らない。

 よし! もう片方も外そう。  カン・コン・カン・・どうだ。       入った!     ビリビリッ。
    なんて事だ、ギリギリすぎて釘が車の内装を引っ掻いた。  『 大丈夫かい? 』

 よし!  釘も全部抜こう。   ギコ・ギコ・グイ・グイ・・。    どうだ!  入った。  まっすぐでは入らなくても斜めにして入れれば微かに余裕もある。
   『 入りました。  え~と何枚ありますか?  は・・八枚!? 』 

 困った。  四枚位はこのままいけるが、かさ高くなると斜め入れが出来ない。
     なんとか一度で運びたい。   どうする、栗山。

 よし! 運転座席と助手席を前に出して、さらに車の中でそこにたて掛ける様にすれば、後ろからの入り口が広がるはず・・。     ドタン・バタン・ズリ・ズリ・・。      よし、うまくいきそうだ。

 たまたま通りかかったオジさんが、途中からずっと見ておられました。
何度も行きかけては戻って来て、見ておられました。  なんだこのオジさんは・・と思って作業に汗していましたが、最後の一枚が入ってドアを ボン! と閉めた時、ニコヤカに近付いてきたオジさんが言いました。

 『 いや~今日はいいもの見せて頂きました。
     何かにブツカル度に何とかされて、何とかなるもんですねえ。
            ありがとうございました。 』

      

西蓮寺十七代住職釈知浩

古書画保存修復師

緑に囲まれた山寺

  春 鳥の声、 夏 蝉の声
   秋 虫の声、 冬 雪の声
 
     ようこそ ようこそ 

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