益田市・美濃地、東光寺さまへ報恩講のご縁。

『 若い人がいなくなった・・ 』  『 みんな歳をとって田んぼをする人が減ってきた・・ 』 お斎をよばれながらの総代がお話。  しばらくの間、無住職であったこのお寺。 それでも門徒さま方だけで維持してこられてあったお寺。   このお寺に若い住職が入寺、24歳。  

わたしの従兄の次男。 大谷派寺院に生まれ育ったとはいえ、大きな決断。 市内に就職し兼業しつつ・・・・。

お茶を飲みながら様子を尋ねる私に、『 事の重大さが分からないまま入寺したから 良かったのかも知れません。』 と。
なるほど。

大きな体格で穏やかな口調。 ポツリ ポツリ と色んな事を聞いて来てくれる。  何か答えると、しばらく考えていて 『 ・・・うん。 ・・うん・・・。 』                                     あぁ、 お父さんに似ている。

『 ぼくは、整理・管理能力が欠けているんですよ。 職場の机の上もどんどん積み重なってきて・・見ると、どうしようとおもうんですよ。 』 
『 そう。 ・・じゃ、管理能力のあるパートナーを早く見つける事だな。 』 
『 やっぱり、そこですか。 』  ・・・・・しばし沈黙。

『 だとすると、ぼくは一生このままって事ですよねえ。 整理出来ないまま・・・。 』 

これはこれは。 一本とられましたか。    『 ははは。 じゃ、そのパートナーに毎日ビシビシしごかれるってのは どう? 』 

『  ・・・・そうですねえ・・・。 』  (笑)

その後、本堂から聞こえてくる ビックリするほど元気のいい彼のお勤めの声。 
お世話のご婦人も、ご聴聞のみなさんも、お斎をご一緒した総代さまも なんとも穏やかなお顔。 微笑み顔。

彼に熱いエールを!   ひとごと・よそごと どころでは無いにしても、熱いエールを!  

先日、本堂にてご法事が勤まりました。
長らくお寺に親しんで頂いていた三浦幸枝さん、法座の度のお参りはもちろん 台所お手伝い・草むしりにまで足をお運び頂いたおばあさん。 もう7回会法要。 

3人の娘さんを育て上げられ嫁がせ、晩年普段はおひとりで畑仕事にも精出しながら、お子さん・お孫さんとのふれあいを喜んでおられました。 

当日、山口・岡山・東京からお集まり。 お勤めの後、庫裏にてお食事、昔話に花が咲きます。
『 まあ~山奥だったんで、小学校往復17kmあるいたんですよ。 』    え~! わたしで8km・・とんでもない負けっぷり。
『 あんた、いつだったか ランドセル一杯にマツタケ採って帰った事あったよねえ。 』    え~! おそろしい小学生。

その和やかな食事は仕出し屋さんからのお料理ですが、一品だけ手料理の椀物が。
こちらで < つぼ汁 >  とも < おつぼ > ともいう、報恩講・法事に大変よく出る とろみのある汁物。 里芋・こんにゃく・ニンジン・・・。  ( この写真は昨年の西蓮寺報恩講のもの。お膳向かって左奥が おつぼ です。 )

『 お母さんが法事の度に作ってくれてたこれだけは、わたしが作ってお出ししたくて。 』  と、大きな鍋いっぱいに作って早朝の山口から持参されていました。          そうでした。  3回会の時も持参されていましたねえ。     

『 母のように美味しくはできませんが・・。 』  と仰りながら。   いやいや、込められた思いと共に とてもとても美味しかったですよ。

賑やかに記念撮影をして、お寺をあとにし、住んでおられたお家のすぐそばのお墓参りに皆さんで向われました 。 

11月4日、益田市大草・明顕寺さま 『 宗祖親鸞聖人750回遠忌法要 』。
前日当日共に快晴、爽やかな日。 沢山の方のご参拝、賑々しくお勤まりでありました。 

随分以前から、法要の係 ( お手伝い )  を仰せつかっておりましたので、当日までに何度か打ち合わせに伺っておりました。 信頼して下さってあるという光栄な事であります。
10人の法中、6人の奏楽僧侶の控え間・動線等。 そして何より法要勤行の差定 ( 次第 )  打ち合わせ。
ほとんどご当山のご意向とはいえ、係の者として十分に把握しておき 何かの時には機に応じて対処せねば・・・と心しておりました。

お勤め開始15分前位に出勤衣体を着けられた僧侶の方々、並びに笛・鼓を奏す奏楽員の方々を前に 『 差定説明 』 ( どこで音を入れていただくか、どのタイミングで動いていただくか、誰がどうしていただくか、そして座順にいたるまで・・ ) なる正式手順を行うのですが、これが中々に緊迫した空気であります。 むろん皆さま真剣に聞いておられますし、分かりにくい事・言い間違いあらば スルドイお声が帰ってきます。 楽の事を殆ど知らない未熟者が、専門家を前に・・・。   夢にも出てきました ( 苦笑 )

荘厳が整った事を確認し、差定説明も心優しき皆さまのご協力で乗り切り、法要がはじまりました。 

午前は 『 宗祖讃仰作法 』 、午後は 『 宗祖讃仰作法音楽法要 』。  数年前に制定され、ほとんどの法中が慣れておられないのでは・・と少々心配しておりましたが、申し訳ありません、浅心者の心配でした。           導師・明顕寺かおりさんのもと、実に美しいお勤めでした。 

CDで何度も聞きましたし、本願寺の遠忌法要でも耳にしておりましたが、立派であっても何やら( 遠い感 ) がありました。
この日 『 ああ・・こういう美しいお勤めだったんだ・・ 』  とはじめて思えました。

実に実にこころに残る、尊い一日でございました。      ありがとうございました。

そして、大遠忌法要勤修。 誠に おめでとうございました。

西蓮寺十七代住職釈知浩

古書画保存修復師

緑に囲まれた山寺

  春 鳥の声、 夏 蝉の声
   秋 虫の声、 冬 雪の声
 
     ようこそ ようこそ 

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