新しい歳を迎えました。
元旦6時の晨朝勤行、凍えるほど冷たく薄暗き中を 大人 5人・子供3人のご参拝。
ノーマルタイヤで帰ってきた弟と母を含めて総勢11名という未だかつてない程の大人数! ( この山寺にしては記録的! ) 
有り難いかぎりです。  さてこの一年、転がる石の様に早く過ぎ去ってしまうのでしょうか。

子供の頃の一年の長さと、歳をとってからの一年の長さが違うのは日本人だけが思う事ではないらしく、海外でも 『 なぜだろう? 』  と考えられてきた様です。  その中に 《 ジャネ―の法則 》 なるものがあるらしく。 10歳の子供の一年は10分の1であり、60歳のひとの一年は60分の1である。 だからして歳とった人間の一年は短く感じられるのである・・と。  なるほど・・・?・・なるほどかなあ。 なんか 言いくるめられている様な・・。

もうひとつのご意見。 歳をとると身体能力も記憶力も衰える。 若い時よりも思い出すのに時間がかかり、考えるのに時間がかかり、動きもゆっくりで時間がかかるので、時間が過ぎるのが早く感じられるのである・・と。  なるほど・・時間が早くなっているのではなく、こっちがゆっくりになっていると言うご意見ですね。   そうですか。  いや、それ以上に早く過ぎ去る感があるのですが・・。   頑固者ですか?

わたしが思いますに。
子供の頃は < 待つ > 事が多かった様に思います。 早くお正月が来ないかな・・早く夏休み来ないかな・・早くお誕生日来ないかな・・。    待つと中々来ないものです。 待ち合わせで待ってる時間は長く感じます。 
歳をとると < 待つ >  事が少なくなってしまう様な。 正月も別に来ても来なくても・・・誕生日など出来たら来ないほうが・・・。
となると、どんどん早く日日が過ぎてしまうのではなかろうかと。

であるなら、過ぎ去る時間の早さを嘆くのであれば、< 待つ > 事を沢山用意すれば良いのでは。     楽しみな先の予定。
『 そんなもの 無いわ。 』    と言わずに!

びっくりするほど楽しみな事でなくとも、あの人に出会う楽しみとか ご飯頂く楽しみとか・・。
あたり前の事ではなくて、実は 楽しみな事であった・・・って事。    

ゆっくり、丁寧に毎日を 頂いてまいりましょう。   まいりましょう。

辺りの雪をみながら浜田道を走り22日帰山、23日 ご門徒・浜村むつ子さんの満中陰法要。
家族・親族のみなさんの大きな声でのお勤めが印象的なご法事でした。 お歳を召した方も中学生のお孫さんも。

京都ではほとんどありませんが、こちらではお勤め後の会食に住職もご一緒させて頂いております。お招き頂いております。

車で7~8分移動して海のすぐそば 『 はりも荘 』 へ。
玄関ロビーを通り、海を眺めようと窓際に寄ると、面白いものが。  以前からここには画・書・焼き物がギャラリーの様に並んでいるのは知っていました。 かわいらしいお地蔵をモチ―フにしたものが多かったのですが、次第にバラエティー富んできた様子。 来る方をこころからお招きしようとの亭主の力作が並んでいます。

『 ほほ~、これは和紙をロールさせて物語が・・・。 』 右手前のレバーを回すと巻きとられて物語が進みます。 終われば反対に巻きとっておくわけですね。  海を見ながら波音を聞きながら 『 海の物語 』 。 ご亭主のオリジナルでしょう。

わが町内は 《 石州和紙 》 の産地。 その和紙を使った様々なオブジェに溢れるロビー。 通路・部屋にいたるまで飾られています。

和紙を 海を誇りに思い、この町を誇りに思い この町を愛する 方々の熱きオモイを感じました。 

大きな窓一面に広がる日本海を眺めながらの会食。 むつ子さんのお話、農作物とイノシシのお話。 遠くにおられるお子さんのお話、何代も前の昔話・・・・。  和やかな時間が流れていきます。

 

なんとか間に合いました。 9日から14日まで会期・《 第11回 現代日本画の試み展 》、会場画廊への作品搬入。
7日18時ギリギリに持参。 桐箱に納めた 掛け軸9幅は、ひ弱な肩に重く。 京阪・丸太町神宮駅から歩いて10分、寒いのに汗かきながら。

出来上がりを この日初めて見る作家方。  じっくり見るのは後日にして・・と皆して早速 展示、会場造りに。 
どこにどの作品を持ってくるか・・・この横はこちらのほうが・・・高さはこれでいいか・・・証明はこの角度でいいか・・・もっと遠くからあててみるか・・・机はこの角度で並べるか・・・いや、いっそ無いほうがいいか・・・キャプションは・・・。 

わたしは、ボ~と見つめているだけ。 みなさん、展示慣れしているというか何というか、ご自分の作品には殆ど触る事なく このスペース全体の為に動きまわって、思うことを語りまわっておられるのが印象的。 

それでも2時間の時間を要されました。   ほぼ準備万端 ( ほぼ、で万端はおかしいですね )。

テーマ、『 初春 』 という事で御軸以外にも 趣向凝らされたものも。  
ほう、鳥 一色のカルタですか・・えっ、帰ってまだ描く?  そりゃ大変だ。 
おお、この皿画 !< 十牛十図 >からでは?  やっぱり。  そうですかあ、可愛らしいですねえ。
なんと! これ、印 相じゃない? これ こうしたら < 施無畏・与願印 >。  えっ、知ってる?  おぬし、やるな。
えっ、これも出すの? 京都初お披露目? 反応、わたしもドキドキするよお。
やっぱこれ、いいですねえ。 いい。  いいなあ・・・・・

ボ~と見てるだけならもっと早く済んだかも知れません。  ちょこちょこ邪魔していた私です。   すみませんでした。

沢山の方が目にされる事を、皆さんに 色々な出会いがある事を わたしも願っております。 

西蓮寺十七代住職釈知浩

古書画保存修復師

緑に囲まれた山寺

  春 鳥の声、 夏 蝉の声
   秋 虫の声、 冬 雪の声
 
     ようこそ ようこそ 

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