浄土真宗僧侶のわたし達は、普段お参りする時には 「 単念珠 」  を掛けていますが、五条袈裟・七条袈裟を着けてお勤めする時には切房で二重になっている 「 二連珠 」  を着用します。  そして、黒衣・輪袈裟にて布教の場に立つ時には、組紐の「 二連珠 」 を持って立ちます。

「 二連珠 」 は宗派によって、珠のつなぎ方・紐が様々な違いがあります。 
先日知人から 預かった品があります。  『 あるお寺であるお方から頂いたもの。 珠に由来があり大事にしたいが、紐をかえて貰えないか。 』 と。

念珠の組紐は趣味のひとつ。 学生時代に父から教わったもののひとつ。 
ボンボリ玉のついたこれは 「 真言宗 」 系のものでしょう。   紐を依頼通りに替えました。 パッと見、真宗布教用二連珠に見えますが、親玉から紐にいたる辺りに違いはあります。  

しかし、珠に由来があるとの事。 そのままに。   となると、どの宗派にとっても<正式>な形ではないと仰るお方もあるでしょうが、それはかねて 存知の上でのご依頼。 ( で、あるはずです・・・よね。)

宗派を超えた 《 仏教徒 》  の念珠になりました。   仏に念ぜられ、仏の教えを聞き、手を合わす者の念珠になりました。

『 隣の花は赤い 』。       ひとの他人に対する嫉妬心、羨望の思いは国を越えていて、『 塀のむこうのリンゴが一番うまい 』 (イギリス) ・『 隣の雌牛はたくさん乳を出す 』 (パキスタン) ・『 他人の手にあるパンはバターがついていて美味しい 』 (ブルガリア) ・『 他人はいつもお祝いをしている 』 ( カフカース) ・・・・・・実に多くの諺が各国にあります。  

他人との比較の中でしか自分の幸福を見いだせない人間の姿を 哲人モンテスキュー曰く。
『 もし人がただ幸福であることだけを望むとすれば、すぐになれるであろう。 
しかし、人は他人よりも幸福になりたがるもので、それは大抵困難である。
なぜなら、われわれは他人が実際以上に幸福だと思うものだからだ。 』 

・・・・なるほど なるほど。  邪智邪見。  求めているものがはっきりしていると言いながら、どこまでいっても得られるはずはない訳で。      加えて< 多財餓鬼 > 、『 富は貪欲の母 』 (コロンビア)。  あればあるほど欲しがり満足なければ、安らぎの時はいつまでたっても訪れることは・・・・。

午前中そんなお話を枕に お話した後の、午後の くじ引き《 あてもの大会 》。 
今にして思えば 「 何が当たっても人さんを うらやむなよ。 」 との事を、意地悪にも前もって聞かされたみたいですが、当方そんな気は全く無く たまたまのお話でした。  いや、ホント。   もし、そう受け取っておられた方がありましたら、すみません。 

もちろんご参詣の方々、例年通り賑やかな時間を。  ご自分になにが当たっても笑顔、おひとに何が当たっても笑顔。( ですよね (笑) )           くじ引きの後は、新聞紙+ガムテープボールでの < パットゴルフ >。  景品目がけて慎重に打てども、あちらにコロリこちらにコロリと、腕に覚えのある方ほどうまくいかないらしく大賑わい。   

それでも今年分用意した景品が少々あまっていたので、急遽 < クイズ大会 >。
『 わかったひとは手をあげて下さい。 早いひとに解答権。 』 
『 三択です。 わたし、住職が今朝食べたものはなんでしょう? いちばん・・』  『 ご飯とみそ汁! 』 ・・・・いや、おばさん、三択ですって。 それに手をあげて・・まあ、いいや・・。(笑)

『 いいですか、次も三択です。 くれぐれも手をあげてね。 わたし、住職の好きなものは何でしょう? ① お酒 ② お金 ③ おんな。 さあ、何番! 』 
『 お酒!』  『 お酒!』 『 お酒!』  本堂中、お酒の大合唱。 ・・・・・あのね、みなさん。黙って手をあげて・・・・まあ、いいや。 おんなやお金の大合唱でなかっただけで・・。(大笑) 

『 さて、最後は総代長にかんする問題です。 三択です。 総代長の好きなものは? ① 奥さん ② 奥さん ③ 奥さん、さあ、何番! はい、どうぞ!』   『 奥さん!』   『 正解!! どうぞ、景品を!』 (拍手喝采)

最後は、何番を答えても正解という< くらべようのない >ところで、みなさんと大きな笑い声の中で終えさせていただきました。    ありがとうございました。 

恒例の渋滞の列を沢山の方々とご一緒する、5月連休。
渋滞ぬけると目に眩しい中国山地、さながら湧き上がる若緑の入道雲。
黄草・青草・若葉・緑青・白緑・・・その中に 『 こんなにもあるのか・・。 』 と思うほど姿を現わす< 藤 >の大木。
驚くほどの大木もあります。 それらは全て < 薄紫 >。  自生するものはみな紫なのか、と思うほど。

西蓮寺に帰山すると、境内の白藤も 『 そろそろですよ 』 と胸を張っています。  目にする方少ない山寺、『 降誕会法座まではもたないだろうなあ・・。 』

4日、朝は雨も落ちていましたがみるみる晴れ上がり、お参り帰りににはすっかり春の海。  < 誰もいない海 >・・ですね。  お坊さんの格好ですからまさか、笑いながら裸足で駆けまわる訳にもいかず。  大人しく帰りました。

西蓮寺十七代住職釈知浩

古書画保存修復師

緑に囲まれた山寺

  春 鳥の声、 夏 蝉の声
   秋 虫の声、 冬 雪の声
 
     ようこそ ようこそ 

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