月日の経つのは早いもの。  もう1月も過ぎようとしています。   『 あれこれ 』への前回書き込みから一か月が経ってしまいました。

年末年始を例年通りに西蓮寺にて迎えさせていただき6日に一度京都に出ますが、16日の御正忌法座の為14日には帰山。   みなさまと久しぶりにお会いした感の法座の翌日17日、鹿児島に走りました。
薩摩川内市のお寺を訪ね、その晩は鹿児島で一泊。 翌18日、天気良ければ景色楽しめるのにと思いながら小雨の中島根に走ります。 西蓮寺にて一泊して、翌19日京都に走ります。この日の浜田道は猛吹雪、5メートル先も見えない中での走行、久しぶりに < 白い恐怖 > を感じました。
そして三日後の22日またまた島根へ、23日の法事を勤めてその足で広島に。  一泊して、24日の用件を済ませて山陽道を一路京都へ。     23日も中国山地は雪でしたが、まだ走れるうちに走っておいて良かったです。  24日も私が走った後で荒れに荒れ、山陽道でさえ通行止めになる程の大雪。   京都は寒い位で、白いものはほとんど無く、狭いと言われながらも日本の広さを感じます。   雪災害の映像を目にし、〈 岡見は断水 〉 との電話の声を聞き、ここに居る申し訳なささえ感じていた数日です。

さて、31日には鳥取市に走る予定であります。その日のうちには帰京しますが、はたして雪はどうでしょう。

今年もどうやら走り続ける一年と予感させる幕開け。    決して無理なく、 《 出来る事を 出来る時に 出来る様に 》  させていただきましょう。

みなさまに、 『 本年も よろしく お願い申し上げます。 』

実に久しぶりの書き込みです。  ひとつには、パソコンの調子が悪く漢字変換するたびにフリーズしてしまうという、恐ろしい病にかかっていました。   何とかいたしました。  祝!回復!   

このところ表装で頭を悩ませていた仕事がありました。 それは15mの巻子仕立て絵巻を額装にして、大阪の寺院の納骨堂壁面に設置するという大仕事。15m・・・長い長い超大作。 日本画家・畠中光亨氏が描かれた『 仏跡巡礼絵巻 』。
インド方面から砂漠を渡り長い長い光景が繊細に描かれてあります。  如何にしてしっかりしたものに仕上げるか、額装の師匠である堀田さんに相談しながらの作業。 先ずつながれてある170cm×45cm・9枚の画を外して9面の額にして並べる事とし。
さて大変です。かなり大きな土台9枚を骨から作り下張りを重ね重ね・・随分時間がかかる作業。そして金箔を張ったものにするとのご依頼の縁の心配。 アクリルを入れるのですが、暑い時期には0、03%のびるものが連なるとかなりの事に・・その対策。 絵巻ですから連なって見えなくては意味がないので縦の縁は無いものにしなくてはなりませんが、さて如何にして・・。 その強度は・・。 重量に耐える額受け金具が打ち付けられるように、施工会社とも相談を重ね・・。 

何といっても不安だったのは、現場に行き何度も何度も測り計算したのですが、果たして計算通り設置出来るかという事でした。 計算では正面にきっかり7枚の額が並べられるはず、その余裕僅か3cmしかない・・。  
これも奇跡的なことです。 画を途中で切ることなく、つながれてある個所を外して額にして並べようとしたら、何と壁面ほぼピッチリ。  驚きですが、果たしてホントか?  やってみたら僅かに1cm長くて入りません・・なんて事はないか・・。

夜中に目が覚めあれこれ考え眠れなくなったり、気になっているんでしょう、朝早く目が覚めてしまったりしていました。

そして昨日。 師匠の堀田さんと助っ人に頼んだ弟の淳之と3人で早朝からいざ設置。 

いきました!  上手くいきました!  完璧です。 計算通り、いやそれ以上の出来です。 

ご依頼の老僧にも見ていただき、お喜びのお言葉を頂きました。恐縮です。 
堀田師匠に淳之、ありがとうございました。    祝杯ものです。   ゆっくり 心痛なく眠れます。   いい勉強をさせていただきました。  ご老僧、ありがとうございました。

益田市にある県立美術館・グラントワ。 
壁面がこの地方独特の石州瓦でおおわれた 美しい姿。

16日まで会期の企画展・『 祈りの仏像・石見の地より 』 。  普段は寺院の内陣奥に安置されている白鳳・鎌倉時代から伝わるご本尊、まじかで目にさせて頂けるという事で、何としてでもと行って参りました。 

勢いよく彫られた四天王立像・古き時代に大陸から伝えられた観音菩薩像・金箔は落ちてもそれが為いっそう美しい阿弥陀如来像・・・。                                                                           そういう思いになるのではないかと想像していたのですが、やはり。 有り難い企画ですし行きたくて来たのですが、まじかでジッと見つめるのは、申し訳ないような目を伏せたくなるような。  小さく合掌して・・・。

重ねての企画に浜田市三隅出身で法然・弁長に続く浄土宗第三祖 良忠上人 ゆかりの美術展も。
ここではなんといっても ( 当麻曼荼羅縁起絵巻 ) 。 浄土の様子を観無量寿経にそって曼荼羅図に描かれてある奈良・当麻寺に伝わる御軸がどのようにして出来上がったのかその始終が描かれています。  普通の絵巻よりはるかに大きい事と、その繊細な美しさに驚きました。 神奈川の光明寺から出品された国宝です。  これはジッとジッと見つめられました。 

帰えると、留守番をしていた老母が ( 打敷きくらいは引いてあったかね? )  
いや、そういうものじゃないいんだよ。 と笑って言いながら・・・。

あなたの感覚のほうが 正しいよ、老母よ。

西蓮寺十七代住職釈知浩

古書画保存修復師

緑に囲まれた山寺

  春 鳥の声、 夏 蝉の声
   秋 虫の声、 冬 雪の声
 
     ようこそ ようこそ 

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