もう随分長くお付き合い頂いていると思います。本願寺前、八田保商店さん。
香の香りのする中、店主・奥さんそしてお母さんが念珠を繋いでおられます。皆さんとても穏やかな気持ちのいい方。   表具の仕事で伺う事が多いのですが、話の合間に店内にある種々の念珠を眺めるのも楽しみです。珍しい木実や石玉のお話も聞かせて頂きながら。

この日も表具の事で伺いましたが、『 そうだ、これなんかはどう思われます?正直なご感想を。 』と店主が奥の作業場から出してこられました。ハウライト(だそうです)の小玉が気に入って数連分仕入れられたとの事。 それをルチルクオーツ(金線入り水晶、だそうです)で仕立ててみたと。 

夏に似合いそうな白、珠一粒一粒が持つ微妙な表情。小粒というのが上品です。長く編み込まれた紐は3種類、  白珠が持つ文様の色を使った紐・・・・見事!  センスいいですね、店主。
限定品にてあと数連のみしか仕立てられないそうです。

30年以上前、亡父から切れた念珠の繋ぎ方と紐の編み方を教わって以来、実に沢山の念珠を繋いできました。切れたご縁で紐を工夫してオリジナルにしてみたり、叔父がインド・中国から持ち帰った大量の珠を仕立てたり。   そのうち、海外に旅行する知人に安価な首飾りを買ってきてもらって念珠に仕立て直す面白さに目覚めたり。
気づけば随分な量が手元にあります、材料。 

そのうち又ぼちぼち繋ぎましょう。 陽あたりのいい縁側にすわりながら。 

綺麗な念珠を見せてもらい、思い出して久々に材料袋に手を突っ込んで色々触ってみました。

昨年だったか一昨年だったか、彼が来宅して一枚の画を置いていきました。
表装してくれとも言わず『 こんなの描きました。 』とだけ言って帰りました。なもので、丸めて置いて( 大事に丸めて )あった事さえ忘れていましたが、先日探し物をしていて見つけました。   しばらく眺めていましたが、置いていかれた日にはさほどに思わなかった面白さがふつふつとわいてきまして。  「 そろそろやってみようか・・・・頼まれてもいないけど・・。 」と。

韓国の寺院のご本尊仏さまは日本の仏さまよりお顔が大きい。それは赤ん坊の身体と頭のバランスに近くて、それはお参りする方に親しんでもらう為に次第にそうなりました。と、彼がいつか言っていました。この画を持ってくるずっと以前にです。 
それを思ってでないにしても、実にいいお姿。実にいいお顔。そしてさすが箔の専門、綺麗な箔づかい、見事です。 柿渋も使っていますでしょうか、裏打ちに少々難儀しました。

そして、こんな感じにしてみました。   名が大きく書いてあります、《 金 珉 》と。
大きすぎないかい?  いいのかい?  

ま、頼まれてもいないんで。

・・・・取りに来ないとしばらくウチで掛けるぞ!

一度暖かくなり一挙に桜が咲いて、散りゆく頃になった4月8日。また寒くなり身体が驚いた日となりました。毎年お釈迦さまのお生まれのこの日に、永代経法要を勤めさせていただいております。 
今年は広島市・永光寺の永光聖法師にご来講頂きました。
本山式務・広島別院と勤められ、昨年伝道院にて学ばれたわたしより20歳以上お若きご講師。   そのご年齢ならではの視点・受け止め・味わいがおありの事であろうと、楽しみにお待ちいたしておりました。

のびやかなお声と穏やかなお話しぶり。 
丁寧に丁寧にお話頂いた40分のお話4席、終わってみればひとつのテーマが一本の道として見えました。  色々な話題を引いてのお話を聴かせて頂きながら、様々なことに思いを飛ばさせていただきました。  

自分の中にあった何かと、この度聴かせて頂いたひとつの事が繋がった時、じわじわと胸にあたたかいものが広がります。    じわじわと。

この度のご縁、誠にありがとうございました。 またお呼び下さい、とのお同行さまからの声が聞こえることは、住職としても喜びです。

当日夜はお泊りいただき、二日酔いするほどお付き合い頂いた事も御礼申し上げながら。

西蓮寺十七代住職釈知浩

古書画保存修復師

緑に囲まれた山寺

  春 鳥の声、 夏 蝉の声
   秋 虫の声、 冬 雪の声
 
     ようこそ ようこそ 

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