京都 <烏丸六角東入る>に <六角堂> があります。
正式には ( 頂法寺 ) というお寺です。 開基は聖徳太子とされ、平安京が京都に形造られる以前から この地にあったそうです。  20年間の 比叡山での佛道修行でも 『 生死出ずべき道 』 が見つからず、天台宗の教えには あらゆる衆生が救われる道が無いのではないか と 悩まれた 親鸞聖人が、 100日近く毎日通われた お堂です。( おそらく 誰よりも 太子に尋ねたくて )    そして、95日目に 聖徳太子の化身・観世音菩薩の 夢のお告げを聞かれ、法然上人のもとへ向かわれるきっかけとなった、あの お堂です。

 その お堂の正面に <六角会館> があります。  その 一階にある 本堂の 障子張替に行って来ました。   幅120cmもある 大障子です。 手ごわい相手です。

                          見事!
 やり遂げました。   ( 自分を 褒めてやりたい・・・一杯 で。 ワインがいいな・・。 )    さて、その 本堂正面に、本願寺前門主様の ご真筆の和額が 掛けられてありました。

  書 も素晴らしいのですが、この本堂の為に この 文言を選ばれた事に  う~ん・・  と ウナッて しまいました。    『 世間虚仮 唯仏是真 』 。  この本堂は、真宗の荘厳なのですが ( 本尊・阿弥陀如来  脇に 親鸞聖人 )、六角堂ご縁の本堂ですから 太子のお言葉でと。   それは、太子を 父母のように慕っておられた 親鸞聖人のお言葉、『 よろずのこと みなもって そらごと たわごと、まこと あること なきに、ただ ねんぶつ のみぞ まことにておわします 』 に繋がってあります。

 今 わたしが生きている この世界は、状況により 物も・ 人も・ 人の心も・ 変化し続け、人の言葉も 嘘・偽りばかりで 中身がなく、 何ひとつ  確かに変わらないものは無い <けれど>、仏法は・念仏は 唯一 確かな真実である・・・・・・・・・・・と、習いましたが。

 10数年前、父が この 聖人のお言葉について 話してくれた事を憶えています。

 『 <なきに> の、 <に> というお言葉が大事なんじゃ。         < ないのに >、 じゃのうて < 無いからこそ > ゆう お心と頂かんと、ただの独りよがりにしかならんけえのお。  』

 ・・・・・・・・・障子を 張りながら 色々頭をよぎり、春の西蓮寺での 彼岸会 のテーマが決まりました。

 森蘭丸、ならぬ 西村 < 蘭丸 >。
彼 (彼女?) の住んでいる西村家には 毎月 お参りしています。   60数歳のお若さで浄土に還られたご主人。  『 また この子は急に大人しくなって。 借りてきた猫みたい。 』  
 蝋燭にお明りをあげていると 毎回の様に ご家族の声が聞こえます。   

 亡くなられたご主人に とてもとても可愛がられて大好きだったという<蘭丸>は、いつもは 大変な悪戯者・・いや
 元気者だそうですが 私は 神妙な姿しか見た事ありません。
お参りの日の この時間だけは 不思議と大人しく佛前にやってくるのだとか。

 毎年 今時分、お釈迦さまご入滅の法要 < 涅槃会 >にあわせて、大きな掛け軸< 涅槃図 >が あちらこちらのお寺で掛けられ 公開されています。
 人間のみならず 沢山の動物達も お釈迦さまが亡くなられた事を嘆き悲しんで描かれてあります。    京都・真如堂の図には 海の生き物、クジラや タコまで描かれてあるそうです。    お釈迦さまの教えが、人間だけの為に説かれたのではなく 全ての<いのち>が その いのちを本当に<生ききれる>ようにと願われてある事を 表わしてしてあるのでしょう。   自分の事を心配して 自分の為にお話して下さった方の声が もう聞けず、姿も見えなくなってしまうのが 悲しくて悲しくて、お釈迦さまの最期のお姿を前に 泣き崩れる 動物たち・・・・。

 なぜか、<猫> の姿が描かれてないものが 多いみたいです。    『 うちのお寺の 涅槃図 には、猫が描かれてあります。』   と仰る方があるほどですから。       なんででしょう?     世界中 こんなに ポピュラーな生き物なのに。      きっと もっともらしい訳があるんでしょうが、きっと それは猫が聞けば 悲しむ様なお話のような・・・。

 < 蘭丸 >。   気持ちはわかってるぞ!

  

  京都 祇園・八坂神社前、四条通りに面した <俵屋画廊>。  主・松本顕龍氏 (写真左) 。

 夕方、訪ねて行きました。  若きアーテイスト・徳山君と村上君の二人を紹介がてら お仕事の話もありましたので。  コーヒーの美味しい一階の喫茶店を見ながら 階段を上がり 画廊のドアを開け    『 こんにちは~、栗山です。 』     奥の方から 『 おお~いらっしゃい。 』
 座るより前に 一升瓶をぶらさげて来られて、黙って 金つぎしてある湯のみに ナミナミと注いで下さり、 
  『ほい。』

 いつもこんな感じで・・。  なんて 素敵な 画廊なんでしょう。
最初はビックリしたもんですが、他では まあ 考えられないほど 素敵です。     
 松本氏の古くからの知人友人でしょう、ふら~と入って来られる方も ( これがそうそうたるかたがたで ) いつの間にか 座って 呑んでおられます。        その皆さんのお話に耳を傾けるのが これまた 楽しい学びです。
  この <親鸞聖人像>の軸装は 栗山がさせて頂いたものです。 渋いでしょう?
 滋賀県の真宗寺院ご住職でもある 版画家の方の作品です。  <七高僧>や<十大弟子>も 版画ならではの味わいがあります。     そういえば 確か、 松本氏も真宗の僧籍をお持ちのはず ( 間違っていたら すみません )。 今日も 大変 ご馳走になってしまいました。
         ありがとうございました。    また お邪魔させて下さい。

 

西蓮寺十七代住職釈知浩

古書画保存修復師

緑に囲まれた山寺

  春 鳥の声、 夏 蝉の声
   秋 虫の声、 冬 雪の声
 
     ようこそ ようこそ 

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