仲間の代表だ!

 森蘭丸、ならぬ 西村 < 蘭丸 >。
彼 (彼女?) の住んでいる西村家には 毎月 お参りしています。   60数歳のお若さで浄土に還られたご主人。  『 また この子は急に大人しくなって。 借りてきた猫みたい。 』  
 蝋燭にお明りをあげていると 毎回の様に ご家族の声が聞こえます。   

 亡くなられたご主人に とてもとても可愛がられて大好きだったという<蘭丸>は、いつもは 大変な悪戯者・・いや
 元気者だそうですが 私は 神妙な姿しか見た事ありません。
お参りの日の この時間だけは 不思議と大人しく佛前にやってくるのだとか。

 毎年 今時分、お釈迦さまご入滅の法要 < 涅槃会 >にあわせて、大きな掛け軸< 涅槃図 >が あちらこちらのお寺で掛けられ 公開されています。
 人間のみならず 沢山の動物達も お釈迦さまが亡くなられた事を嘆き悲しんで描かれてあります。    京都・真如堂の図には 海の生き物、クジラや タコまで描かれてあるそうです。    お釈迦さまの教えが、人間だけの為に説かれたのではなく 全ての<いのち>が その いのちを本当に<生ききれる>ようにと願われてある事を 表わしてしてあるのでしょう。   自分の事を心配して 自分の為にお話して下さった方の声が もう聞けず、姿も見えなくなってしまうのが 悲しくて悲しくて、お釈迦さまの最期のお姿を前に 泣き崩れる 動物たち・・・・。

 なぜか、<猫> の姿が描かれてないものが 多いみたいです。    『 うちのお寺の 涅槃図 には、猫が描かれてあります。』   と仰る方があるほどですから。       なんででしょう?     世界中 こんなに ポピュラーな生き物なのに。      きっと もっともらしい訳があるんでしょうが、きっと それは猫が聞けば 悲しむ様なお話のような・・・。

 < 蘭丸 >。   気持ちはわかってるぞ!

  

西蓮寺十七代住職釈知浩

古書画保存修復師

緑に囲まれた山寺

  春 鳥の声、 夏 蝉の声
   秋 虫の声、 冬 雪の声
 
     ようこそ ようこそ 

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