昨日 午後3時前 東北・関東に大きな地震があり、津波による被害も甚大なものです。
京都でさえ 揺れました。   先ほど 外から帰り 報道を見ると、24時間たった今 気仙沼では 大規模な火災が群発しています。 大津波被害の為 消防車も現場に入る事ができない とのこと。   燃えていく我が家を どうしようもなく見つめていなければならない方々、いまだ 家族の安否不明の方々、帰る家をすでに無くされた方々、寒い中 未だ 食べる物もなく 助けの声が届かない方々、自衛隊はじめ わが身を惜しまず救助に全力を注いでおられる方々、そして 水の中 建物の下で 亡くなられた方々・・-未だ、被害がおさまりません。 ここに座っていて やりきれない思い、申し訳ない思いにあります。  
 出会った事のない方々であっても、皆 繋がっています。  やがて お役にたてる事を見つけ、させていただきます。  今はせめて 悲しみを 言葉に。       念じる思いに 力があれば・・・。

    『 しゃ~ま~た~ぎょ~・にょ~ぞ~ぶ~ 』
何だ?      お経の様な。       ・・・・・・お経です。    『 奢摩他行如象歩 』 。 

 龍樹菩薩が 阿弥陀如来のお徳を讃えられた偈 ( 十二礼 ) によまれてあります。
    ・・・ 如来さまの こころ、 静かに思いめぐらされる事、
                   確かに 確かにである事  象の歩みのごとし ・・・・

 象はあれ程 大きな身体ですから、 踏みつぶす物 気にする事なく ワッシ・・ワッシ と歩きそうなものですが、実は 大変に 注意深く 一歩一歩を進めているんだそうです。
 そうですよね・・・あの重さで うっかり 棘でも踏んだら、 自分で抜けるはずもなく 命とりになりかねません・・

 そんな 象の歩み ( と いうか、それが 偈に喩えとして入っている 面白さが ) が気にいってて。

 『 今度、インドに行くけど お土産 何がいい? 』       『 象。』
 『 タイ土産に なんか リクエストある? 』           『 象。』    『 ・・・ちいさい物で。 』

 って言ってたら、いつの間にか 象たちが ワイワイ。 

 今日も一体 やって来たので、並べながら 『 しゃ~ま~た~・・』 ・・・なぜか 口ずさんでしまいます。

     ドスン!     ドスン!         おっ。     うちの象さんが 帰ってきたな。

 『 表装を教えて下さい。 』   と、以前から言っていた彼が来ました。

今までにも 色んな人が習いに ( 体験に ) 来られてます。    老若男女・国籍種々・・・・・韓国のミン君・パクちゃん、 中国の マ君・テキ君、 松浦女史、 迎田君、 それに 80歳の木村さん。
     教えに行くのと違い、家に来られて・・というのは、一対一なので < 弟子と師匠っ! >って感があります。          ただ技術を教えるだけでなく 色~んな話をしながら ふたりの時間が過ぎていくもので。

 徳川家康の <三方が原>の戦いの話になりました。
武田信玄が 大軍を率いて 悠々と家康の城の前を通り過ぎていきます。    今 戦っても勝ち目は無いので 悔しくても籠城を・・と 進言する家臣らを振り切り、31歳の若さの家康は 戦いを挑み 打って出ます。
         ・・・・結果は 惨敗。    脱糞までして ( わたしでもそうでしょう・・ ) 命カラガラ 城に逃げ帰ります。       その後が さすが家康。      その ぼろぼろ姿で憔悴しきった 幽霊のような自分を 絵師にすぐ 書かせたというのです。     そして、生涯 その絵軸を そばに置いていたとか・・・・。

    『 一時の感情で、 計画なしに 無茶をしては いけない。 』

 自分への戒めの為に たまに開いて見ていたのでしょうか。    

 まっ。       実は私にも そんな 軸があるんよ。 それは、表装始めて 一番最初にひとりで 仕上げた軸。
中身本紙は、人様のものをするなんて とんでもないんで 親父の書なんだけど、これが また。
 今 見たら 裸足で逃げたくなる様な ヒドイ 出来栄え。    やり直すのは 簡単なんだけど、置いとくの。
家康の軸みたいなもんで、自分への 戒めとして。    ・・・だから この 軸も たぶん 一発で見事なものにはならないだろうけど、仕上がったら 置いとこうな。     出来栄え以上に 大事なものになるで。

   ・・・・な~んてね。
本紙に霧吹いて シワとるのに、あんまり 苦労してる姿を見てると 自分の以前の姿が重なって、愛おしくもあり   励ましてやりたくなります。     ・・・・・・・・・・・  ・・・・・・・・・これって。

  

西蓮寺十七代住職釈知浩

古書画保存修復師

緑に囲まれた山寺

  春 鳥の声、 夏 蝉の声
   秋 虫の声、 冬 雪の声
 
     ようこそ ようこそ 

Copyright © 2010 Sairen-Ji Temple. All rights reserved.