久々に 画家 ≪ 金 珉 ≫氏が やって来られました。
自影軸のお姿に 少々筆入れのご依頼がありましたので、顔料と筆を持参して。
 私は 京都・島根 行ったり来たりですが、彼は 韓国・日本 行ったり来たりで 忙しそうです。
3日に日本に帰ってきたのに、10日には また 韓国だそうです。
 私も負けてはいけないので 明日、島根に向かい 明後日の夜には 京都予定。

  『 時間も お金も ありません。 』    ・・・彼の弁。  ・・・ ご同輩。

 そんなこんなで 珉さんが 描いているのを ジッと見つめている訳にもいかないので、隣部屋で 屏風の土台作りを続けます。


だんだん 屏風らしくなってきましたね。    この3枚の写真分 進めるのに 10日はかかってますけど。
一旦 貼り付けたら 次の作業まで 最低 一昼夜は乾かして 置かないといけません。
 さて、では 何をしようか・・・・・おお、思いだした。

 姉に頼まれていた 念珠の房替え。   もう 半年も預かりっぱなしで  この間も  『 急ぎはしないんだけど、何時でもいいんだけど・・・まだ? 』     と。
いい加減に渡さないと、いくら 菩薩の様に穏やかな姉でも・・・・・。



かなり 痛んでいた 白と赤の房も 薄紫色に替えると、随分 趣が変わりました。
    これで また 出番が増えるでしょう。     念珠も うれしそうです。

 なにより 島根に帰るたび まだ 直してない事を思い出して、姉に会うたび ビクビクしなくてすむ 私が嬉しそうに見えたでしょう。  珉さんには。


 

 

 今日は、3kmばかり離れた所にある お寺、相焼香の 『 常福寺 』様の 永代経法要にお参りしてまいりました。
布教の先生は、旭町・清岸寺・服部老師。      

   『 失礼ですが、 お幾つになられますか? 』

などと お尋ねしながら、色々お話させていただきました。   80・・お幾つでしょうが、はっきり 仰いませんでした。

   『 ここは、お庭が きれいですなあ。    よく 手入れされておる。  うん。 』 と、老僧。
   『 そうですねえ。』
   『 長い事 アチコチのお寺に お邪魔しておるとですなあ。   大体 わかるんですよ。
    いつも 少しづつでも 掃除・手入れ されとるか・・。   ・・・法座の前に 慌てて 掃除
    されたか。』
   『 ・・・・・・恐ろしいですねえ。 』          などと色んなお話を 座敷で お茶をご一緒しながら。

 本堂でのお話は ≪ 人間、思いどうりになったら  どこまで堕落するだろう ≫ との 厳しい指摘のお言葉からでした。        そして、 午後席の中で、おそらく みなさんを 和ませる為に、

   『 最近 よく お幾つですか・・と 歳を聞かれるんです。     おそらく そんなに 私の歳なんか 興味は無いけど、まあ 話す事もないから 歳くらい 聞いとこう・・位の 軽い気持ちで お尋ねと思うんです。 (笑)    
   で、私も 軽い返事を しとくんです、29 ですって。』 (笑)
   『 いつの 29 ですって、まだ聞く方がありますけど  西暦に決まってますよ。 』
   『 私の 不徳でしょうな。  誰に何回 歳を教えても  ( そうですか。 そんなに お歳ですか・・ ) って 長火鉢のひとつも送ってくれた親切な人は 誰ひとり おらんです。 』 (笑)

 ・・・老僧のお話って 味があります。
        
 帰りに 老僧にご挨拶する時 言い添えました。

   『 わたしも お歳を聞いてしまったんで、今度 長火鉢でも送らないと いけないんですが・・』

  老僧、笑って トイレに立たれました。

   

昨日は 楠照道氏の個展初日にて、夕方 行って参りました。
氏をはじめ お三人いらしゃったところ、次第に人が増え 分厚い 一枚板のテーブルの上の物も増え・・・

 報道関係・美術誌関係・染色関係・画家・・・等々のお方々 話題には事欠きません。

お釈迦さまが 涅槃に入られた事を 胸掻き毟るほど悲しむ 弟子の姿・顔・また顔。
    多くの弟子が 顔を歪めている中、≪ アナン ≫の顔が印象的です。    遠くを見つめる様に 茫然としている ≪ アナン ≫。       お釈迦さまの従弟でもあり 『 多聞第一 』 と言われるほど お釈迦さまの説法を 一番沢山聞いてきた方。     お釈迦さま 最期の旅にも ずっと ご一緒した方。   悲しむ以前に この事が全く 受け止められない・・というお姿でしょうか。     

 お釈迦さまも 自分が涅槃( 死 )を迎えた後の アナンの事が心配で、うろたえる アナンに この事をしっかり 受け止めてほしい・・と 丁寧にお話しされてから 涅槃の時を迎えられたという エピソードが残っています。
 グリーフケア ( 悲嘆ケア) ですね。   大事な人を失う時の あまりに大きな悲しみを 乗り越えていく道を 自ら お話されていた訳です。      ・・・・それでも あまりの事に、ただ 茫然と・・。

 やがて アナンは、自分が聞かせて頂いた沢山の お釈迦さまのお話を 後に伝える とても大きな仕事をやり遂げます。   かなり 時間がたってからのことですが。

 『 樹下説法図 』。
お釈迦さまがされるお話を 喜び、楽しむように聞く お弟子方。
      今 我が家に 掛けてある 那須氏の画です。   どの時も 一度しかない 大事な時です。

 

西蓮寺十七代住職釈知浩

古書画保存修復師

緑に囲まれた山寺

  春 鳥の声、 夏 蝉の声
   秋 虫の声、 冬 雪の声
 
     ようこそ ようこそ 

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