ご門徒さまのお家の仏壇の奥に大事に仕舞われていた お軸です。         ご本尊・ 阿弥陀如来、そして 親鸞聖人のお若い頃のお姿。
  「 青蓮院 見真大師 植髪之御真影 」 と あります。 現在 目にする聖人像は、お歳を召され 座っておられるものが ほとんどですが、 この お姿 ・・京都でも 古いお仏壇に掛ってあるのを 見かけます。 木版刷りです。

 現在 70近いご門徒さま。 ご結婚され所帯を持たれた時 お仏壇を迎えたいと思っておられました。
たまたま ご縁の深い親戚のお家が 新しいお仏壇を迎えられるというので、古い(?)お仏壇・ご本尊を頂かれました。        ながく その仏様にお参りされていましたが、新しいお家へ引っ越しされた時 お仏壇も 新しくされ、ご本尊を本山から迎えられました。

 という訳で、旧仏壇は処分されましたが 中に掛っていた 『 お軸 』 だけは、焼きも・捨ても・処分もされず 大事に持っておられたんです。   ・・・永く 手を合わさせて頂いた お軸です・・・

 このご門徒さま、お寺の廻り・裏山の草刈り 庭木のお世話などに しょっちゅう来て頂いていて ( 深く 深く ありがとうございます ) 、 その時 お茶をご一緒しながらのお話で  『 かなり 痛んでいますが、あるんですよ。 』 って。    『 そうなんですか! じゃ 今度 持ってきて下さいよ、 きれいに 修複しますよ。 』

 
 
そして この 沢山の方を見守り続けられた 仏様。    200年分の汚れを洗い流され、きれいに そして しっかりと 蘇られました。


 5月21日の 『 降誕会法座 』 には お渡しいたします。   是非 ≪ イワレ ≫ を書き添え、これからも 代々の家宝にしてください!

   えっ・・・・・表具代?   決まってるじゃないですか。

  昨日は、兵庫・伊丹市に お参りまいりました。 
島根 西蓮寺近くに住んでおられた ご門徒さんで、お父さんと お母さんの 33回会のご法事です。
お寺からの 夏ミカンのお土産に   『  ワ~! 』  との歓声。

遠くにおられても 法事に呼んで頂ける事は、大変嬉しい事で 私を含めて 計8人。和やかにお勤めさせていただきました。       昼食をご一緒しながら、田舎の話・子供の頃の話に 笑い声が絶えません。 なんとも 気持ちのいい ご家族です。
奥様が、デザートに・・と 剥きたての 夏ミカンを 持ってきて下さいました。

 『 お~。 割と甘いですねえ。   売ってるモノと違って もっと ホ~ホ~言うくらい 酸っぱいんですけどねえ。  これなら 店に出せますよねえ。  』 と 私。     『 ホントだ。 美味しいですねえ。  』 
 『 そうだ! 西蓮寺ホームページ 始めたんですよ。 見た? 』 と お若い方に聞くと、  『 そうなんですか! 』  と、すぐ iパッド なるものを取り出してくれ、みんなで 懐かしい人や 風景で 盛り上がっていると、奥様が 台所から出てきて 仰いました。

 『 この 頂いた 三隅の夏ミカンも 剝こうかしら? 』

 ・・・・・・え?・・・・・

 みなで 顔を見合わせます。      『 じゃ、 さっきの 夏ミカンは? 』 
   『 ああ、あれは お店で買ってきて お供えしてた ミカン。 』

 ・・・・・・・・ 『  え~~~。 』 『 あぶない あぶない。 奥さん、頼みますよお。  もう少しで 「 やっぱり 田舎のミカンは 一味ちがうでしょ? これくらい 酸っぱくないとねえ 」 とか 調子のいい事 言うとこでしたよ。 甘いって言ってましたよね。 』  『 言ってた 言ってた。 ご院家さんは 甘いって言っておられました。』 (大笑)

 大笑いの後 出てきた夏ミカンを みんなして 恐る恐る食べ、顔を見合わせ、
    『 ・・あ 甘いよねえ。 』  『 大丈夫かなあ、 まさか 岡山あたりのミカンって言うんじゃないでしょうねえ。 』  『 まさかの 二度 ビックリ ですか・・・』  ・・・・・・・・・  ( 爆笑 )

 いや 実に和やかな 一日でした。  お父さん、お母さんのご縁です。 ありがとうございました。

 とっても 結構な お土産まで 頂きました。   重ねて 御礼を。

        

 昨日は 浜田・周布の専称寺様の法事にお参りしてまいりました。
ご導師の 勝竜寺様の法話で紹介頂いた ≪詩≫ こころに残りました。   ありがとうございました。

 この専称寺様、子供の頃からお世話になっているのですが 表装のお仕事も 随分させていただいております。
特に思い出すのは、ご住職はじめ ご門徒様方のご尽力で本堂新築建立された時の事。
 ご住職に呼ばれました。

 『 旧本堂を飾ってあった ≪ 餘間壁面画 ≫ と ≪ 腰板画 ≫が とってある。     かなり痛んでいるが 何とか直して、新しい本堂の同じ場所を 飾れないか? 』 

 ・・・・素晴らしい事です。               かなり 顔料が剥落し、本紙も痛んでいて 真新しい本堂には そぐわない・・と、捨ててしまえば それまでです。  修複には費用もかかります。
 それでも、今まで本堂を飾っていてくれた画。  旧本堂を建立された 先祖・先輩方の思いと ご苦労を この度の新しい本堂でもご一緒したい と。

 京都から 知人の絵師を呼び 最低限の補彩をしてもらい、精一杯 修複表装いたしました。

 新しい中に 歳を重ねた古きもの・・いいですねえ。

この修複中に 驚いた事が ひとつ。
 旧裏打ち紙を剥がす為 全体に タップリ 霧を吹いたら、 フワ~っと。   ≪香≫の香りが立ち込めました。
        ・・・≪ いい香 ≫ の香りです。

 湿度の多い日は、香りが際立つものです。    本堂に長くあり 香が染みついた画が、水分を含んで その香りを現わしたのです。     コワイ様でもあります。

 画は黙っていますが、この本堂で 何代にもわたり 安物の香ではなく いい香を焚き お勤めされ、ひとの目に触れないところで 仏様を敬い 荘厳されてきた事が ・・ばれてしまいました、住職。  (笑)

 いや 笑いではなく。   
          見習う事に また 出遭ったなあ・・・と 仕事を続けました。

西蓮寺十七代住職釈知浩

古書画保存修復師

緑に囲まれた山寺

  春 鳥の声、 夏 蝉の声
   秋 虫の声、 冬 雪の声
 
     ようこそ ようこそ 

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