染香人のその身には・・

 昨日は 浜田・周布の専称寺様の法事にお参りしてまいりました。
ご導師の 勝竜寺様の法話で紹介頂いた ≪詩≫ こころに残りました。   ありがとうございました。

 この専称寺様、子供の頃からお世話になっているのですが 表装のお仕事も 随分させていただいております。
特に思い出すのは、ご住職はじめ ご門徒様方のご尽力で本堂新築建立された時の事。
 ご住職に呼ばれました。

 『 旧本堂を飾ってあった ≪ 餘間壁面画 ≫ と ≪ 腰板画 ≫が とってある。     かなり痛んでいるが 何とか直して、新しい本堂の同じ場所を 飾れないか? 』 

 ・・・・素晴らしい事です。               かなり 顔料が剥落し、本紙も痛んでいて 真新しい本堂には そぐわない・・と、捨ててしまえば それまでです。  修複には費用もかかります。
 それでも、今まで本堂を飾っていてくれた画。  旧本堂を建立された 先祖・先輩方の思いと ご苦労を この度の新しい本堂でもご一緒したい と。

 京都から 知人の絵師を呼び 最低限の補彩をしてもらい、精一杯 修複表装いたしました。

 新しい中に 歳を重ねた古きもの・・いいですねえ。

この修複中に 驚いた事が ひとつ。
 旧裏打ち紙を剥がす為 全体に タップリ 霧を吹いたら、 フワ~っと。   ≪香≫の香りが立ち込めました。
        ・・・≪ いい香 ≫ の香りです。

 湿度の多い日は、香りが際立つものです。    本堂に長くあり 香が染みついた画が、水分を含んで その香りを現わしたのです。     コワイ様でもあります。

 画は黙っていますが、この本堂で 何代にもわたり 安物の香ではなく いい香を焚き お勤めされ、ひとの目に触れないところで 仏様を敬い 荘厳されてきた事が ・・ばれてしまいました、住職。  (笑)

 いや 笑いではなく。   
          見習う事に また 出遭ったなあ・・・と 仕事を続けました。

西蓮寺十七代住職釈知浩

古書画保存修復師

緑に囲まれた山寺

  春 鳥の声、 夏 蝉の声
   秋 虫の声、 冬 雪の声
 
     ようこそ ようこそ 

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