西蓮寺を出て しばらく走ると、樹木のトンネルを何度も くぐりぬけます。 キツネに騙されているかの様に、似た景色が繰り返されます。



  と いうことは、西蓮寺に帰る時は 何度も樹木の トンネルをくぐらないと 辿り着かない訳で。        初めてお見えの方は 『 ここ・・・さっき 通ったよね。 』
などと よく 仰います。
 ある 小さいお子さんは 『 ぜったい、まっ黒くろすけ がいるよ! 』  と。 ( となりのトトロ に出てきた アレですね )

 あの アニメ映画では、 低い樹木のトンネルを くぐりぬけると、トトロのいる 不思議な世界に辿り着くのですが   ・・・・・わたしも 樹木のトンネルを くぐりながら、同じ世界でありながら 少~し 違う世界 ( 西蓮寺 ) を目指している様な気になる時があります。  携帯圏外ですし、静寂をやぶるのは 鳥と 虫と 風ですし・・。

 そして、トンネルを潜って また 人間の世界? に出ていくわけです。 

 国道に出て、日本海を見ながら走り
 中国道を爆走し すっかり 人間世界・京都に到着しました。
 仏法では、法を きく事を ( 聴聞 ) といいます。      どちらも ( きく ) ですが、耳を澄ませて きくのを ( 聴 ) 。 きこえてくるのを ( 聞 ) 。      聞こえてくるところを 聴く。   

いま、鳥も 虫も 風も いるのでしょう、あるのでしょうが 聞こえません。   耳を澄ませて探さなくては。

  18日から 島根・西蓮寺に帰っています。
7月の法座の前準備として。      ご門徒・信徒の皆さまに 年4回、 封書で法座案内をお出ししています。
この度も 書斎中に墨を乾かす封筒が 舞い踊っております。  作った文章を印刷して、さあ これから 折って畳んで 封筒に入れて、糊で止めて お配りくださる地域に分けて 遠方には切手貼って・・・・ああ そうだ。   アチコチの掲示板に張る <振れ書き> も筆で書いて 10枚ほど用意しないと・・・
 ひとりで 大童しているところに、たまたま?総代さまご夫婦が 見えました。    これを逃す私ではありません!

   『 いや~実に いい所に来られました! まあまあ 上がって。 今 コーヒーを点てます。 』

 応接室に招き入れる その手に乾いた封筒と 案内状文章と 糊が握られていたのは もちろん です。

 結局 2~3時間 お手伝い頂きました。  『 いや~ご縁ですねえ。 』 って。
笑いながら お手伝い頂きました。

 外は しびしび 雨模様。
       濡れた瓦が 白く光ります。     時間は ゆっくりと 流れます。

父・前住職が浄土に還り もうすぐ 2年になります。
このところ 表具の < あれこれ話 > が多かったですが、西蓮寺での 父の三回会法事の準備も進めております。 7月7日・安居会 ( 夏法座 ) の午前中に 三回会法事、午後を 例年どうりの 安居法座を勤めます。
昨年、一回会の時は お参り事が続き 心苦しくもあり ご門徒さまにはご案内することなく 親族のみで勤めました。 昨年 親族の前で 『 来年三回会は ご門徒・お同行さまと お勤めします。 』 と申しました。  ( いや、もちろん どなたに来て頂いても いいんですよ。 ただ 十分なご接待はできかねるであろうと・・ )

 ある ご門徒さまが仰いました。
『 法座と一緒の日に勤まるんなら、法事の (御仏前) と 法座の (御法礼) 。ふたつ 包んでいかんとなあ・・。』

 いやいや、いやいや。   やめて下さい。
皆さんへの ご案内に書きました、 『 立派なお料理も 立派な記念品も 用意いたしておりません。 ただ、この日、父が大事にしていた本堂に 午前は法事で 客僧・常福寺さまのご法話、午後は法座で 弟とわたしの法話が 響き渡ります。 皆さまと 如来さまの願いをご一緒させていただく事が、なによりの 法事になるとの思いからであります。 何卒、平服でご参詣 ご焼香・ご聴聞をお願いいたします。 』

 弟が 午後 一席、お話する事を 憶えているかが 少し不安ですが・・・。 大丈夫だろうな。 見てるか?これ。

 さて、立派な記念品は 用意いたしません・・といたしましたが、心ばかりの品は用意しております。
知人の画家に頼み、画を描いてもらい この日だけの為の オリジナルの < 風呂敷 >を 今 染めてもらっています。   ちょっとだけ お見せしましょうか?

  ご参詣。  お待ち申し上げております。

西蓮寺十七代住職釈知浩

古書画保存修復師

緑に囲まれた山寺

  春 鳥の声、 夏 蝉の声
   秋 虫の声、 冬 雪の声
 
     ようこそ ようこそ 

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