1月25日午後6時、本願寺近く 正光寺にて 《 聲明の夕べ 》 。

毎年1月最後の土曜日に勤まる会・今年で10回を数えます。  大八木正雄師 ( 絵師・金珉氏と3人でかわす杯はいつも楽しく深く ) 主催にて、師のもとで聲明を研鑚 する僧侶の方々による幽玄な空間。         
大八木師の師である水原夢江師が平成16年に復元された < 如法念仏作法 > は、出遇ったことのない音声に ただ目を閉じるのみ・・・・・。  
マイクは無くとも響く音声。  多くのひとが居ても何ひとつ音のない堂内。  外を歩く人の靴音が気にかかるほどの・・・。

皆でつくる空間を感じつつ、今一度 目を閉じ深く息を吸い込みます。

葉脈のみにした< 菩提樹の葉 >に描かれた仏画。
菩提樹といえば、お釈迦さまがその樹のもとに座し お悟りをひらかれたという、仏教では特別な樹。  その樹の実を繋いで念珠にしたものを よく目にします。      これはインドで描かれたものだそうで、「 掛け軸に 」というご依頼です。額装にしてあるものは見かける事はありますが、掛け軸にと・・・・・。

実は以前にも同じ方から同じご依頼があって、何パターンか軸装して納めた事があるのですが、気に入って 頂いていたんですね・・・というか、まだ持っておられたんですね ( 笑 )。

そしてマタマタ実はですが。 これが大変面倒で難儀な事がありまして・・・・。
掛け軸は当然 巻き下ろしが出来ないといけませんが、葉の <背骨 > のところが太すぎて割れ・折れしてしまい、しなやかに曲がり伸びしないのであります。 つまり、掛け軸に表装するのは無理、ですから アクリル・ガラスで押さえて額装にしてあるものばかりという訳です。 

しかし。  それでも 『 よ~し、何とかしてやろうじゃないか! 』  と立ちあがるのが栗山表具。
後ろから< 背骨 >を少しずつ少しずつ削り取り < 骨抜き >? にしていきます。 決して決して表に刃がいかないように・・・手の震えを止め、息を止め・・。



そして、どこの厚みも同じにしてから和紙で 裏打ちし、数日乾燥させてから、これを本紙として掛け軸への表装が始まります。         こんな感じの掛け軸になります。 ジャジャ~ン!

はたしてこの努力、知って頂いているでしょうか・・・・・・・・。   いや、努力を振り回すのは恥ずかしい事でした。   いいのが出来た、と喜んで頂けたら良いだけでした。                  ・・・ おはずかしい。

18・19の両日、益田市・明顕寺さま 御正忌法要のご縁。
わたしが知る限りでも 祖父・父の代から深いご縁のお寺、だからかどうか 実に居心地良く。 ( 院内の皆さんがそうして下さっているからに他なりません。 )   

炬燵っていいですねえ・・何とも・・・。

18日の夜は雪が降り、深夜中 屋根からの < 雪ずり > の音。 大男が歩き回っているかと思う様に ボタッ・ドタッ・ドタドタ、と。
これは二日目の今日は雪でもあるし、お参りは少ないかなあ・・・と思いながら ( いらない心配ですが ) 本堂に出てみると、これは これは・・・。    遠く広島・瀬戸内から、ご住職法友ご夫婦も。    

正しく わたし自身の学びであるご縁でございました。  ありがとうございました。

西蓮寺十七代住職釈知浩

古書画保存修復師

緑に囲まれた山寺

  春 鳥の声、 夏 蝉の声
   秋 虫の声、 冬 雪の声
 
     ようこそ ようこそ 

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