一枚の葉にも仏さま。

葉脈のみにした< 菩提樹の葉 >に描かれた仏画。
菩提樹といえば、お釈迦さまがその樹のもとに座し お悟りをひらかれたという、仏教では特別な樹。  その樹の実を繋いで念珠にしたものを よく目にします。      これはインドで描かれたものだそうで、「 掛け軸に 」というご依頼です。額装にしてあるものは見かける事はありますが、掛け軸にと・・・・・。

実は以前にも同じ方から同じご依頼があって、何パターンか軸装して納めた事があるのですが、気に入って 頂いていたんですね・・・というか、まだ持っておられたんですね ( 笑 )。

そしてマタマタ実はですが。 これが大変面倒で難儀な事がありまして・・・・。
掛け軸は当然 巻き下ろしが出来ないといけませんが、葉の <背骨 > のところが太すぎて割れ・折れしてしまい、しなやかに曲がり伸びしないのであります。 つまり、掛け軸に表装するのは無理、ですから アクリル・ガラスで押さえて額装にしてあるものばかりという訳です。 

しかし。  それでも 『 よ~し、何とかしてやろうじゃないか! 』  と立ちあがるのが栗山表具。
後ろから< 背骨 >を少しずつ少しずつ削り取り < 骨抜き >? にしていきます。 決して決して表に刃がいかないように・・・手の震えを止め、息を止め・・。



そして、どこの厚みも同じにしてから和紙で 裏打ちし、数日乾燥させてから、これを本紙として掛け軸への表装が始まります。         こんな感じの掛け軸になります。 ジャジャ~ン!

はたしてこの努力、知って頂いているでしょうか・・・・・・・・。   いや、努力を振り回すのは恥ずかしい事でした。   いいのが出来た、と喜んで頂けたら良いだけでした。                  ・・・ おはずかしい。

西蓮寺十七代住職釈知浩

古書画保存修復師

緑に囲まれた山寺

  春 鳥の声、 夏 蝉の声
   秋 虫の声、 冬 雪の声
 
     ようこそ ようこそ 

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