

もう半月もたってしまいました。9月17日、日帰りで東京へいってまいりました。用件はふたつ、ひとつは仕上がった掛軸を築地本願寺まで届けるという事。今ひとつは数年会っていない友人に借りていたものを返すという事。
東京は40年ぶりです。高校生の時上野公園内の美術館に美術部員らと行ったきりですから、街が変わったかどうかも全く分かりません。以前の姿を何ら覚えていないのですから。
築地本願寺での用件を終えて本堂にお参りに入ると、≪ 声なき声に耳を澄ます ≫と題して俳優の小木戸利光さんの講演が始まるところでした。ロシア連邦サハリン州の残留日本人について何故どのようにして残留されたのかを分かりやすくお話され、また実際サハリンへ訪ねて行かれた時のそのインタビュー音声を聞かせて頂きました。
サハリン・・・。 故郷に帰れなかった方の声を、その土地ならではの事情を知らなかった私に聞かせて頂いたこともですが、何より思ったのは。
レコーダーから流れる声、はっきり聴きとれないほど歳をとられた方の言葉。その日の様子を細かく細かく語られる、その時の心情を詳しく語られる声。 聞いてくれるひとがいなかったであろう事を思いながら、今 聞いてくれるひとがいて、胸の奥深くに沈めてあった思いが言葉となって出せたのではなかろうか・・・と。 聞くという事の大きな力を思いました。
違うかもしれません。的はずしのことかもしれませんが、たまたま座ったご縁、お聞きしながら思いました。
そして、もうひとつの用件。彼が働く六本木ヒルズビル。 この西蓮寺ホームページの土台を作ってくれた徳山氏。 一番古い書き込みの『住職あれこれ』に登場している彼は、その後色々な道を歩み今はこのビルの最上階にある《森美術館》のキュレーターです。 この日は彼が企画し何年もかけて日本中どころか海外の建築士とも出会いを重ねて結実した展覧の最終日せした。
『 栗山さん、もし来られるならジックリ案内しますよ。いい企画なんです。 』と言ってくれていたように、企画した本人の説明をジックリ2時間聞きながら回りました。 なんて贅沢なことなんでしょう。最終日とあってか夕方にもかかわらず入場には長蛇、わたしに説明してくれるあまりによく知っている興味深い彼の声に気付いた廻りのひとが、聞き耳を立ててそれとなく付いて歩く上手な人も。
あと、彼と久々にゆっくりと一杯。 話題は奔放。 いつも学ぶこと多き彼との時間。最後は右も左も分からない私を新幹線口まで送ってくれました。 九拝。
展覧会場に入る前に屋上に案内してくれました。 53階ビル。
なんとまあ・・見渡す限りどこまでも平野でビルビルビル。 山がない。
すごいなあ・・と思います。 なんと人間のする事はすごいなあ・・。
西蓮寺に縁側に座って山・虫・緑・蜘蛛の巣を見て思うのは、
< なんと、自然ってすごいなあ・・・・。 >
この夏の事業、本堂側面縁板ふき替え。 ずっと気にかかっておりました。 正面は父の代に新しくされてありましたが、側面の縁板は吹き込む雨・花粉・黄砂によって随分傷み激しく歩いてケガされるのではないかと危惧しておりました。 思い切ってこの一年に納めて頂いた永代経懇志全て使わせていただいて。 お念仏のみ教え広く長く伝わる事を願って頂戴したご芳志、この聞法道場に訪れてくださるお方の為に道場荘厳と扱わせていただきました。
あらためて深く御礼もうしあげます。有難うございました。
風呂焚きの為に割り揃えた古縁板。 ここまでボロボロになってまで黙って踏まれていてくれたんですね。 沢山の沢山のひとの< 歩む道 >でしたよ。
有難うございました。 灰になっても、畑にまいて草花育むいのちとなって頂きます。
そんなこと思っていた矢先。
<時刻> 9月1日午前7時21分。 <現場> 西蓮寺本堂裏山、老坊守生きがいにしている畑斜面。 四頭のイノシシ出現! おいおい、コラ~!
夜ならまだしも、堂々と耕すんじゃないよ。 と、コイツらも・・山寺の荘厳か・・。 かな。
縁側にあがるなよ。 ・・・絶対に!
もう9月、ことさらに厳しい夏でしたが早米の刈り取られた田んぼを見て、やっと季節の移り変わりを感じます。
毎年大河ドラマテーマの案山子を立てられている山根さんの田んぼの収穫はまだですが、今年も現れました。 「西郷どん」。 案山子が元気そうだという事はおじさんがお元気という事。何より何より。
今気が付きましたが、昨年の案山子。 ここにアップしていなかったようです、写真にはおさめていましたが。しかも製作者のおじさんがおられたので並んで頂きました。 この「直虎」は大きかったですねえ、柴咲コウさんもビックラですよ。 この時思ったもんです、『・・おじさん、来年は基礎工事いるんじゃないですか・・。』
そしたら何と予想を裏切って飛んじゃいました。 とびましたねえ。 こうなったら知恵くらべみたいなもんで、おじさんの笑顔がわたしに挑んでいるような不敵な笑いに見えてきますよ。 いやいや、お元気でおってください!