新しい歳を迎えはや23日。16日には親鸞聖人御正忌の法座、今年は例年より暖かな日でありました。少人数であってもすっかりお顔なじみの皆さんとゆったりご縁を。お話の途中『 ご院家さん、いっぺん聞いてみたいと思ってたんですがいつも忘れて・・。今その話を聞いて思い出したんですがいいですか? 』『 はいはい、いいですよ。 』って感じで。 実にいいです。
そのご質問を他人事にせず聞いておられる皆さん、『 それ、ちょっと私もいいですか。 』
うちの本堂でさえあまりない事です。皆さんこんなに積極的でしたでしょうか、若々しい!
<クイズ浄土真宗>という本を片手に開いたところのクイズを出して、そのことについてアレコレお話してみたのが良かったんですかねえ。
いつかまたやってみましょう。
さて表装のお仕事もしっかりやっております。修復が多いです。
古く傷んでいてもそのまま丸めて仕舞っておくのではなく、費用がかかってもまた掛けられる様に直す。
どれもお一人お一人にとってはかけがえなく大事なものであるという事です、わたしにとっては大事という事。
お内仏掛けの小さい三幅の古いお軸がまいりました。五十代( 縦35㎝×横12㎝ )、ご本山からの裏書もあります。これを三つ折り屏風仕立てで閉じれば( 縦21㎝×横11㎝ )くらいになるように仕立ててくれというご依頼。 
お寺さんからのご依頼で詳しくはお聞きしておりませんが、おそらく。
最近は<墓じまい>どころか<仏壇じまい>が多くなっている事を各方面からよく聞きますし、相談を受けてもおります。( 仏壇じまい、というのも お魂抜き、というのも マチガイですが! ) 少子化となり家の造りも変わってきた昨今。
そんな中、ある老母がお亡くなりになりました。老父は随分以前に亡くなっておられます。残られたのは娘さんお一人。もう嫁いでおられます。 ご実家は処分することになりました。 そこには、ずっとお礼してこられたお内仏( 仏壇 )が。 娘さん嫁がれたさきにはお内仏がございます。そこにこのご実家の仏さまを並べて・・というわけにはまいりませんし、そうするものでもありません。 そこで、最期のお礼のお勤めをして壇そのものやお道具は仏壇屋さんに引き取ってもらって処分をお願いしますが、中に掛けられているご本尊のお軸と両脇の親鸞聖人・蓮如上人のお軸はどうしようか・・。 仏壇屋さんに持って帰ってもらって処分を・・いや、そんな。 お寺さんに持ち帰ってもらって・・そうするのも選択肢のひとつです。受けて下さるでしょう。 
そのご相談とお願いをされたお寺さん、娘さんの何かを感じられたのではないでしょうか。
そこで、三つ折り屏風に仕立て直してご自分がお持ちになってはどうかと勧められたのではないでしょうか。 お父さんがお母さんがおじいさんがおばあさんが、何より娘さんが小さい時からお礼してきた大事な仏さま。 持仏として大事に手元にされてはどうですか、と。
そしてこの度、わたしのところにこの仏さまがいらっしゃったのです。 です、ではありませんでしたスミマセン。 わたしの想像です。 想像。 お仕事しながら思いながら。
この形になっておられると、旅行先でも立てて朝晩お礼できますね。 とかも思いつつ。
今までにも三つ折り仕立てのお仕事はありましたが、この度は特にそうに違いないと思ってしまいました。 なぜでしょう。
今年の年賀状。
いろいろな思いを持って描いたつもりの年賀状。
このことが頭にあったのかも知れません。
< 思い 思われ・・ >
はや12月、あわただしい中にも表装の依頼ある事喜ばしいことです。京都・神戸からの御軸修復依頼につづき滋賀よりご依頼があってご相談に行ってまいりました。
滋賀県野洲市。真宗木部派の本山、錦織寺。
宗祖親鸞聖人・第二代如信上人・第三代覚如上人( ここまでは本願寺派と同じにて )第四代存覚上人と法灯つづき、現在は第二十二代円慈門主。 聖人のお手紙に何度もでてこられる関東門弟のお名前<性信>、このお方にご縁深い流れと聞いておりました。そういえば父が西蓮寺本堂で、そのお手紙の話を何度もしていたなあ・・と頭をよぎります。
この度のご依頼は御影堂余間に掛念されてある十字名号( 帰命尽十方無碍光如来 )軸の修復です。第14代良慈上人が1787年に書かれた紺紙金泥の御軸。あいだで修復されてありますがかなり傷みが見える為この度ご縁を頂戴いたしました。
恥ずかしながら初めて境内の土を踏ませて頂きました。裂地のご相談と修復をすすめる上での詳しいご説明に伺ったのですが、何より先ずは両堂にお参りを。 
その後宗務所にてお話させて頂いておりましたが、必要あるだろうからと御影堂の内陣に上がらせて頂き間近に現在掛けられてある全てを拝見させていただきました。そうしながらお話を進め修復の方向性を確認し合い、御軸をお預かりいたしました。
これをご縁に聖人のお手紙<御消息>を今一度ゆっくりじっくり学ばせていただこうかと思いながら京都へと走ります。 今一度しっかり学べ、との催促と。
傷み具合から、修復には三か月はかかると思います。
ゆっくりじっくり急がず丁寧に・・。 もちろんどのお仕事もそうです。文化財であれ、小学生の書初めであれ、たったひとつの大事な≪ 預かりもの ≫ばかりですから。
10月20日から三週間以上ずっと西蓮寺に居ります。住職を<住んでいる職>というなら、ここのところ住職です。普段は行ったり来たり出たり入ったりですから<不住職>でしょうか。不徳のいたすところ。
10月29日には半分位の紅い姿を見せていた裏山の樹も、
今日11月12日には随分誇らしく姿を変えました。時間の流れを感じます。
このところ、ご門徒さまのお家に報恩講参りさせて頂いております。みなさまお荘厳を整えて丁寧にお迎えであります。いろんなお姿と出遇わせていただきますが、憶えておられるでしょうか≪ 住職あれこれ ≫の2011年11月6日書き込みの <赤いケーキ> のお姫さま2人。
あれから7年です。今年も一緒にお参りしてくれましたが、なんと2人でお抹茶の接待をしてくれました。
・・・・感慨深く時間の流れを感じつつ、姿を見つめます。 ありがとう。
そして『娘ふたりの仕事が休みの日に来てくださいね。一緒にお参りしたいですから。』と仰ってくださっていたお家。ご近所のお友達にもお声をかけて頂いていて、さながら法座のような賑わい。住職、嬉しさのあまり心なしかお話にも力がこもります。 いや、けっして人数ではありませんが、そこは凡情としてこもってしまっていたでしょう。 お家からとは別に娘さんお二人の連名で包みをかえたお布施まで頂戴してしまいました。
恐縮のかぎり。
それぞれのお方がそれぞれの 心のこもった 報恩講お迎え。 この座布団に座らせていただいたのはついこの間のように感じつつ、 ご一緒にお勤めさせていただく度に、『 今年もご一緒させて頂きました 』とご挨拶してひと言のお話をはじめます。