本堂に掛る 60号の油絵。 美術部だった高校時代に描いたもの。 誰が? 栗山画伯が!
西蓮寺境内に立つ 経蔵の <堂宇>彫り物です。 情熱持って描いた思い出があります。 なつかしいです、美術室。
職員室嫌いな先生が いつもおられ、皆してコーヒー飲んでマッタリして、思いだした様に筆をとり・・・・。 そんな中 この画だけは 気合い満ちていたようで・・・うん 懐かしい。
この間、本堂の大掃除をしていて 『 お~ ここにも 獅子が。 』 と気づきました。
さて、本堂のどこにいたでしょう? あまり 目に入らないところに ジッと潜んでおりました。
そうです。 あそこです。
ご本尊・阿弥陀如来像の足元、蓮台の下です。 誰に見られる事なくとも、誰に褒められることなくとも 尊い力を支え続けて 何百年・・・。
同じ西蓮寺の獅子です。 この場で出遭って< 同窓会 >って事で、まあ 積もる話でも・・・。
< 掛け軸 >は、巻く事が出来ます。 小さく仕舞い 大きく広げる事が出来ます。 床の間だけでなく、玄関・廊下・洋間・コンクリート壁面・・・額装とは違う 空間を造り出します。 その空間は 小宇宙です。 季節により、気分により、招く人により 掛け替える事が容易です。 『 あの友人が来るから これを掛けて 一杯呑もう。 』 と掛けて待ち受けます。 また、友人の家へ軸を持っていき 『 目の土産 持ってきたよ。 一緒にお茶にしよう。 』 と 軸を下します。・・・すんなりとは下しません。 ゆっくり ゆっくり、途中で止めながら 下します。 まず 綺麗な裂地が出てきます。 また 裂地。 どんな画だろう?・・・・ 想像しながら待つ 楽しい時間です。 いっそ 外に出て 木の枝に掛けて お茶にしますか?


< 掛け軸 >表装技術は 先人方の知恵の結集です。 巻き下しを繰り返す為に 中身の画や書、廻りを飾る裂地も やがて、痛んできます。 ガラス・アクリルでカバーしていないので、埃などで汚れもします。 ( それも いい味となるのですが・・ ) その為、100年・200年に一度 < 打ち直し >をします。 裏から霧を吹いて 時間をかけて、三層にも 四層にも貼り重ねられた裏打ち紙を ピンセットで剥がしていきます。 描かれた時の一枚の本紙 (絵絹) の状態にまで戻します。 そして、修復をほどこし 新しい和紙で裏打ちをします。 裂地を廻していきます。 軸が蘇ります。 そうです、200年後・400年後 剥がして修復する事を前提に 表装されているわけです。 その為、キツイ接着力のある糊は使わず、薄い糊を使用します。 薄い糊でも 何百回の巻き下しに耐えうる様に、シュロの束の刷毛で叩き込み 又、湿度の差の大きい日本に耐えうる様に 長い時間をかけて さまざまな工程をほどこします。 まったく まったく、 先人方の積み重ねられた智慧 又 智慧です。
画には(書にも) 作家の < 思い >が込められています。 表装する事で 廻りにする裂地により 随分受ける印象は 変わります。 横幅・長さを変えると またまた 受ける感じが変わります。 表装の全てを任されると、作家の < 思い >に 私の < 思い >が重なり、反物ひっくり返して 悩みに悩みます。 苦しくも楽しい時間です。 ( この度は 孤独ではありませんでした。 作家のお一人お一人と サンザン 一緒に悩みましたから。 楽しかったですね。 ね。 )
何分も 花を見つめ、川を見つめ 飽きる事無いことがあります。 その時は 花や川面の部分部分を見ているのではなく、自分の内面と対話している時だと思います。 『 昨日 あんな事言ったけど・・悪かったなあ・・。 』 『 今頃 田舎のお袋・・どうしてるかなあ・・。』 『 今度の アレ ・・・どうしようかなあ・・・。』
画も黙して 実際には何も語りませんが、同じ画を見るにしても 私が悲しい時に見るのと 楽しい時に見るのと 聞こえてくる言葉は違います。 見ている内に 私の内なる言葉を引き出してくれているのでしょうか? 花や山や海と 同じ様に・・。
画には 描いた方の < 思い >が 込められています。 そこに 見る人の < 思い >が重なっていきます。
その人の 時時の < 思い >が。 ふたり・・三人・・。 重なっていきます。 画が成長するかの如く、深まってゆきます。 そして 200年・400年経ち 修復され また、蘇ります。 その ハグクミの一端に携わらせて頂いている事を 喜びとしております。 坊主であり、表具している < 軸装坊主 > の つぶやきです。
・・・・・原稿書いていた訳ではないんで、憶えている内に 書きこんでみました。 お聞きになっていた アナタ・・・『 あれえ、栗山さん こうでしたあ? 』
こう 言いたかったんです! いやあ、お話って むつかしい!
それにしても、これ。 最後まで 読んで下さった あなた。 ( 深々と礼 )
盛況の内に会期を終えました。 < 第八回 現代日本画の試み展×表具師 栗山知浩 > 。
最終日の10日にしか会場におれませんでしたが、沢山の方と出会えました。 作家のお一人お一人が 作品についての思いを語られる< ギャラリートーク >に先立ち、午後2時から < 表具屋のつぶやき >と題して、栗山に話をする時間を 30分頂きました。 どうなんだろう? まあ メンバー数 10人強位かな・・・・・と思っていたら、なんと 40人以上の賑わいです。


栗山がお話させて頂いている写真を( 迷いながら遅れて来た )娘が( 迷うか!?お前 )撮っていたそうなので( いや、来てくれるとは かわいいヤツ ) 画像を受け取ったら、その様子と。 せっかくですから、何をつぶやいていたか ここに書きこみましょう。 数日後になるかもしれませんが、 軸装坊主のつぶやきです。
この企画が無かったら 会えていなかったであろう 作家の方々と沢山のお話ができました。 倒れるほどの暑さの中、わたしの知人も来て下さり 会場で出会えました。 メンバー友人の<造園技士>古鍛冶達也氏の手による 会場内に突然あらわれた 坪庭!にも出会えました。 打ち上げで、次の企画を熱く語り合うメンバーと ひたすら 呑んでいる私に、これまた熱く お薦めの日本酒を語ってくれるおじさんにも 出会えました。
いや、やはり この文章中の < 出会う >は 全て 字がちがいますね。