さて、京都に向かって走ろうかと・・・ふと目にとまる、2月28日に書き込んだ < 梅 >。

玄関に飾ってある、切り落とした一枝の < 梅 >。 ちょっと置いてみただけで、まさかこんなに長く置いておくつもりはなかったのですが、三か月経ってもまだ花をつけています。 植物には全く詳しくないのですが、あたり前のことなんでしょうか?     見る度、私には 『 こいつ、スゴイなあ・・。 』 と思えます。

 そして、外に出ると花を茶色にした < 藤 >。
 散って散って無惨にも見えます。

 ≪ 無常 ≫ とは、ただ空しい事ではなく 常に変化し続けてある姿です。 若かったものが老い、元気だったものが病んでゆく。 それだけではなくて ≪ 無常 ≫ であるからには、病んでいるものが元気になっていくという < 可能性 > があるという事です。 あらゆる 可能性が。

 茶色く枯れた、いや 枯れたと見える枯れたと見る < 藤 >君も、実は今 < いのち > を燃え盛らせているただ中です。
                        まっただ中!  

 境内の白藤が迎える中、17日に帰山。  今日21日 ≪ 降誕会法座 ≫。

 ニ日前には華を立てに渡辺総代さんが。 奥さまも来て下さり本堂・庫裡のお掃除を。 それは綺麗にして頂き大助かりです。 その何日も前にも裏山や庭の草刈りに来て頂いてありました。


 遠田の山崎さんも草むしりに来て下さっていただけでなく、何度も母に料理物を届けて下さっていたとの事。 今日も海の幸 < 亀の手 > ( 鷹の爪とも呼びます。ご主人が採って来て下さったと。 ) や、皆さんへの料理物を。


 昨日は三隅の三浦さんが台所手伝い・掃除に来て下さいました。 いつも息子さん共々お世話になっていますが( 帰るたびに美味しいお料理を届けて下さって・・。 )、今朝、お寺のあちこちに黙ってソッと花を飾って頂いていたのを たまたま目にしてしまいました。


 今回から< 世話役 >をお願いした渡辺繁さんも朝から走り回って頂きました。

 皆さんへのお茶菓子にと毎回、自店で作ったお饅頭を持参下さる山本さん、『 これはご院家さんにお供え。 』と焼酎を持ってきて下さる村上のおばあさん、皆さんに一本づつ・・と <竹酢液> を持ってきて下さる斉藤総代さん、仕事を休んででもお手伝いくださる寺迫総代さん、途中何人も乗せながら遠くから車を走らせて来てくださる小松原さん、はじめてお参り下さる方を何人もお連れ下さる高橋さん・・・・・・。

 おひとりおひとり言い始めたら切りがありません。  そして何より、今日 本堂に座って下さった方々があってこそ、法座がお勤まり出来たわけです。

 親鸞聖人のお誕生日をご縁とした今日の法座。  楽しく、賑やかなうちにも 仏法のお話をご一緒させて頂きました事、全ての多くの方々に 深く深く 感謝を。

 中国で書画の掛け軸を買い求めて帰国し、床の間に掛けてみたが何となくシックリこない・・。
と、表装替えを依頼される方があります。
 
 表装に、中国風・韓国風・日本風と決まってはいないのですが、それぞれ特徴があります。
日本の家屋に掛けるには、日本風に表装されたものがおさまりやすいのでしょうか。
 ( わたしは、・・・まあ、そうともおもいませんが・・。 )
 この度の軸の表装はあまりに白っぽすぎて落ち着かないので、渋めの三段表装に、との事で。
 ( かと言ってあまり渋くなく、明るさも・・という至難のご依頼。 )
  印象が変わりました。

 中国で表装されたものは、きつい糊が使用されてある事が多く、剥がすのが大変です。
日本で表装された軸は、裏から霧を吹いて時間をかければ ス~と剥がれる事がほとんどです。
( 最近の機械表装のものはダメですが。 )
    何百年先に次の表具師が修復する事を想定して、そしてその時本紙の書画を痛めず剥がしやすい様に薄い糊を使って仕上げてあります。 薄い糊を使うという事は、何百回も巻き下しをするうちに剥がれて痛みやすくなるという事です。 その為、薄い糊でも結着力あるように様々な知恵が結集されてあります。
   ホントにスゴイ事です。  先々を思って仕事されてあります。  その為には時間も労力もしっかりかけてあります。

 『 今さえ良ければ。 』 『 早く安く。 』 と、きつい糊を使うことは、書画の寿命を考えていないとしか・・・。    あれ?  悪口?

 紙も、日本の和紙がいいです。 楮・三椏の繊維毛足が長く、強いです。 毛足のほとんどないパサパサの紙が張り付けられている日には・・あれ? 悪口?  いえ、作業するものの正直な感想です。  難儀しながらモクモクと剥がすうちに、人生と重ねてまで考えてしまいます。

  墨ひとつで、鏡の如き湖面が。
        大丈夫です!     何百年先の表具師が喜んで蘇らせるように、師匠に教えられた全ての仕事は致しました。

西蓮寺十七代住職釈知浩

古書画保存修復師

緑に囲まれた山寺

  春 鳥の声、 夏 蝉の声
   秋 虫の声、 冬 雪の声
 
     ようこそ ようこそ 

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