一軒のお参りの帰り、お昼まえ。   通りかかった路上販売のお弁当屋さんに寄りました。
≪ お弁当・味噌汁つき 500円 ≫ の ノボリ旗。

 500円・・・いつもは昨夜の残りか、パックのうどんかラーメンで済ます私にとっては 贅沢なお昼ご飯です。   『 なにを言う住職。 アルコール分をまわせばいいだけだろう! 』
     と言う声が聞こえてきますが・・・ああ、耳がイタイ。

 それは置いといて。
 三か月に一回位しか立ち寄らないので、馴染みでも何でもないのですが、たまに通る時チラリと見て通っていました。  雨の日も風の日も暑い日も寒い日も、お若い( たぶん )女性が立っておられました。    花粉症なのか大きなマスクをして、朝が忙しいのでしょうノーメイクで( 住職・・よく見てますね ) 今日も立っておられます。

 『 いらっしゃいませ。 今日は焼き肉弁当と、焼き魚弁当と・・( 略 )。 』
 『 じゃ、焼き魚弁当を。 』
 『 ありがとうございます。 ご飯は大盛りですか? 』
 『 いえ、普通で。 』
 『 お味噌汁はお湯を入れておきますか? 』 ( カップに生味噌タイプが )
 『 いえ、そのままでいいです。 』
 『 ありがとうございます、500円です。 それから、今度 隣のビルの一階の隅に店舗場所が変 わります。 これからもよろしくお願いいたします。 』
 『 ああ、そうですか。 へ~、はい 500円。 
   ・・・・それは今まで暑い日、寒い日ご苦労さまでした。 』 
         と、何気なく言ってお弁当を持ってバイクに向かうと、後ろから大きな声が。

 何気ない会話・・。大抵、こういう返事が返ってくるだろうなと思っていて、そう返ってきてその場が何気なく終わります。  今日の場合、『 ありがとうございます。 』 くらいを思っていました。 いや、別に何にもお返事なくてもいいくらい気にとめない言葉だったんです。

 『 まあ~! 何て言葉を言って下さるんでしょう! 
       目がウルウルしてきそうです・・・。 』

    坊主、予想していなかった反応に少々ビックリしてしまいました。
 『 ・・・ああ、はい・・。 じゃあ・・・。 』
           今にして思えば、何とも情けない私の反応。

 バイクの籠で揺れているお弁当を見ながら、色々思いました。
あの方、私が思っている以上に ホントにホントに 暑い日寒い日雨の日、大変だったんだろうなあ。     路上で始めて何年もたって やっとひとつ願いが叶えられたんだろうなあ。    

  そのうち、なにやら非常に嬉しくなってきました。  あんな言葉に大きく喜んで頂いて・・それをビックリするくらい素敵な言葉で伝え下さり!

        なぜかよく解りませんが嬉しくなってきてしまい、
             お弁当が美味しく美味しくなっていました。

   額装作品の右上部の汚れを落とせるか、と。
 雨か何か、水分がしみ込みカビが生えている様な・・。 せっかくの < 舞妓はん > が・・いや < 芸子はん > か?  分かれ目をよく知りませんが。

 さる日本画の大家の娘さんが描かれたものだそうです。  なんとか綺麗になりましたので、裂地も変えてみました。 紺の時より、優しくなられたような・・・。     いや、本人の目を見ると 気に入らないのか・・? 怒ってます?

   紺の服が良かったですか?   怒っていませんよねえ?

 

 仕事柄色々な方とのお出会いがあり、個展・企画展のご案内をよく頂戴いたします。
どの展にも行ってみたいのですが、残念ながらというか失礼ながらというか行けない事が多々あります。       今日も一通のご案内を頂戴いたしました。

 ≪ 七回忌記念 ・ 齋鹿逸郎 展 ≫。
 以前、< たまたま >としか言ってはいけない位たまたま作品を目にする事がありまして・・。
      『 ・・・? いったい何だ こりゃ? 』
 
 和紙の隅々にまで鉛筆のみで ビッシリ 描かれて( 埋められて? )あります。 ( 白亜・膠・胡粉も存分に使用されてあります )
 近づいてみると、さまざまな図形が細々細々に。  遠く宇宙からみた私達の営みのひとつひとつにも見えて来ますし、身体の細胞を網羅されているようにも・・。

      2007年に亡くなられており、わたしはお会いした事はないのですが、氏をよくご存知の方のお話によると、    『 彼の頭の中には設計図は全て入っていた。 』
  と。     すさまじいお話です。


 この度の展覧会。  鎌倉( ジ・ア~スにて 6月1日~6月16日 )  鳥取( 百花堂にて 9月6日~9月15日 ) 東京( 銀座煉瓦画廊にて 11月4日~11月10日 ) 
  そして、京都ではご縁深い 祇園・俵屋画廊で 9月29日~10月13日 の会期です。

 たまに思い出すという不思議な作品です。
        以前より時間をゆっくりとって、じっくり ボ~と見たく思います。

西蓮寺十七代住職釈知浩

古書画保存修復師

緑に囲まれた山寺

  春 鳥の声、 夏 蝉の声
   秋 虫の声、 冬 雪の声
 
     ようこそ ようこそ 

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