毎年本願寺から送られてくる手帳を使わせて頂いております。
各寺院に得度者数が送られてきます。つまり僧侶用です。  色々な資料が載っていますが、主に予定記入として一年中持ち歩いています。

年により表紙の色が違います。 何十年もそのまま使っていましたが、昨年ある方( 若き女性僧侶 )が表紙カバーの中に独自の紙を差し込んでおられるのに衝撃を受けて(・・たいそうな・・)私もやってみました。 なぜ、それを思わなかったのかと数年を悔やみつつ。

表具屋なら表装裂地を差し込んでみようと。  中々気に入って一年愛用しました。

今年もこのカバーを引き続き使おうと思っていましたが、今日、こんな仕事をしていて  端切れ裂地が残って散らばっているのを眺めて作ってみました。


ポップでキュートでスタイリッシュな・・ご注文お待ちいたしております。
・・・すみません、妄語です。  いたしておりません。


かなりの時間を要してしまいました。  夕方、今日分の仕事が進んでいないことに気づき・・。        ま、いいもん出来たんでいいですよね。   これが生きてるって事。

10月29日、当山西蓮寺にて宗祖親鸞聖人七五〇回遠忌法要を厳修。

あいにくの小雨模様、皆さまの足元を心配しながら朝を迎えましたが、 先ずは役員世話役の方々の姿が見え次第に参拝の方々が門をくぐられる姿が見えてまいりました。
駐車場の係の方、受付の方、お茶準備の方、靴整理の方、前もってお願い打ち合わせしていましたのでお任せしておいて、わたしは法中をお迎えして本堂に顔を出したのは9時半でしたでしょうか。 驚きました。 ある程度は参拝の人数を把握していたとはいえ、この本堂がビッシリと満堂の姿。 初めてこの土を踏んで下さったお方も多々、それはお同行さまが「 お参りしましょう 」と声をかけて頂いた方々。どれだけ熱心にお声がけ頂いた事でしょう。 広島・岡山と遠方からのお姿、どれほど朝早くからご準備くださった事でしょう。 

ご法中には朝事よりご出勤頂きました。ありがとうございます。
前日夕方には本堂高座に座り声の響きを確認いただいたご講師先生。50年ぶりに据えた高座での『お説教』。言葉たくみ音声豊かなお話しに、外は小雨静寂であるのと対称的に堂内は不思議な空気感。   それは、座っている人の顔は違うものの50年前のこの日と重なっていると感じての事かもしれません。

今にこの場があるのは、遠い過去から実に多くの方々が少しづつ少しづつ思いを積み重ねて下さったからの事と感じました。   ご講師のお話を聞かせて頂きながら聴聞の皆さまのお顔を少し振り向き、そう感じました。 そしてまたご講師先生を見つめます。

日中法要の前には記念撮影。  そして行道によるお勤め。
何とも綺麗に厳かにお勤め頂戴いたしました。  このお勤めに遇えた事の喜びを伝えて下さった方が沢山ありました。 ご講師先生のお話に遇えた事の喜びを伝えて下さった方はそれ以上にあったでしょうか。   そのお声を聞かせていただくと何度も何度も嬉しくなってきてしまいます。

会奉行の浄蓮寺さまには大変お世話になりました。何日も前から通ってきて頂き相談を重ね、こちらが気づかぬ事まで気づいて頂き。当日実に心強く、お蔭様にて。
弟・淳之も、息子・廣大も、 娘婿永光寺・聖法くんも出勤頂き。 有難く嬉しく。
「朝目が覚めるだろうか、生きてむかえられかねえ」と言っていた老母も無事に。

《 運命 》というものはありません。
最初から決まっている事など何もありません。 多くの出来事と多くのひとの出会いのうちにひとつ事が。  その出来事の場で振り返ってみると、「ああ、多くのことの全てが、正しくこの事の為にあったのかなあ 」と。   網の目のご縁は、過去・現在のみでなく未来にまで連なっております。  願わくば、この法要のご縁が後に繋がらん事を。 

合掌 九拝

小雨の上京区寺之内、「大本山妙蓮寺」(日蓮宗寺院)。
以前より親交ある松浦直子先生(京都精華大学日本画特任教授)の初めての作品展です。

『西行の旅』ー西行物語絵巻(旧萬野家本)から模写した五つの情景ー と題して九幅の掛け軸と巻子一巻の展示です。 この作品に筆を持たれてから20年近くかけてここまで描かれたと認識しています。 そして、長い時間をかけてご相談しながら少しづつ表装させて頂いたことを思い出します。

お預かりして表装している時に何度も何度もよくよく目にしていたはずの画。 ところが、今日は全く違う画として見えた事に驚きました。
おそらく、場所です。 「場所をえる」という言葉は好きな言葉ですが、おそらくその「場所」です。

拝観寺院でありながらその静けさは何とも・・。ゆっくり画を拝見した後で縁側で話す声さえはばかられる静寂。 どこかで焚かれている香。  雨に濡れる庭石。 
よく見ようと作品に近づくと、画の中に入り込んでいくような感覚に。

西行の歩いた時間。  原本絵巻を描かれたに要した長い時間。            
今日まで絵巻物として伝えられた長い時間。 
そして本紙の紙の汚れ皺一本、水の流れ一筋まで繊細に写し描かれた松浦先生の長い時間。         何度も見ていたとはいえ見ていたとは言えない、凛とした空気の中でこそ感じられる事があると、あらためて。

この作品展、展示協力された青谷女史なくば成しえなかったと仰っていました。ここを探し選ばれたのも彼女でしょうか。  お二人に、ありがとうございました。


そして、明日からいよいよ法要せまる山寺へ帰山。 これまた時間の流れが少々違う場所ですが、今回ばかりは慌ただしくなりそうです。 出来る事なら、こころ慌てず。

 

住職釈知浩 (栗山知浩)

平成14年・西蓮寺十七世住職継職
古書画保存修復表具師でもあり、島根と京都行ったり来たり。

山に囲まれた小さなお寺。
たまに人が集まり、タヌキも集まり…
あなたもそこに仲間入り、ようこそ。

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