ため息と喜びと。
本年度も京都市立芸術大学の日本画模写専攻へ招聘講師としてお招き頂き、作品展に向けての大作の裏打ち表装に。
京都駅すぐ近くへと移転した新しい学舎に足を踏み入れるのは初めてでした。
沢山の棟が並び、先生と外で待ち合わせしていなかったらと迷子になっていた事間違いありません。立派な学舎です。
薄い和紙に何か月もかけて繊細に描かれた大画面、少し霧吹きすると顔料のっている箇所のっていない箇所の違いで伸び方が違って大きく暴れるようにシワシワになります。
学生さんは、そうなったご自分の心血注いだ作品を驚きと不安で見つめておられます。
色々説明しながら一部分を刷毛で伸ばしてみる。 まだ早すぎる。 しばらく時間をおく。
少し刷毛でさばいてみる。 まだまだの様子。 ほんの少し霧吹きしてみる。 刷毛でさばいてみる。 まだまだ早い・・・・この連続です。
二時間以上格闘して何とか次の段階、いよいよ裏打ちに入ります。この間、学生さんは裏打ち糊の準備、その前にもちろん裏打ち紙の準備。
表具師になるための学びではありませんが、和紙・水分・糊・顔料を熟知していなければならないこの専攻の学生にとってはとてもとても大事な学びだと思います。表具師にすべてやってもらうという選択肢もあるのでしょうが、色んな話を聞きながら出来るところを自分でやってみる、という事は宝の時間だと思います。ご自分も学生も忙しいスケジュールをかいくぐってでも、その時間を提供される教授先生に感謝でありましょう。・・今それほど思われていなくても、この先必ず大きな宝であったと気付かれます。
もう何年もこの時期大作の前に呼ばれて出向いておりますが、実はその度「ああ、断ればよかった・・」と思いながら。
それでも毎年終わってみれば、無事の安堵とこの年の学生に出会えた喜びが。
生きていくって事ですね、これ。
その作品たちも並ぶ 《 2023 京都市立芸術大学作品展 》
明日、2月7日から11日まで。一般の方が新しい大学構内に入れる機会でもあります。 入場無料
で。
自宅工房でも修復の仕事やっておりますよ~。
預かって帰ったものをため息ついて見つめ・・・
それでも数か月後にはふつふつと喜びをおぼえみつめながら!
西蓮寺十七代住職釈知浩 古書画保存修復師
山に囲まれ狸がお参り・・・
そこにあなたも仲間入り・・・
ようこそ ようこそ。
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寺院基金懇志(15分法話500円)サイト開設
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