#栗山廣大 #テコンドー選手。

息子・栗山廣大の東京オリンピックへの挑戦が終わりました。   各種選考大会で勝ち残った選手によるオリンピック最終選考大会が2月9日に岐阜県羽島市で開催、男子58㎏級一人68㎏級一人の出場枠を競う大会に68㎏級の最終選考者として出場しました。6人の最終選考者にまで残ったわけですが、あと一歩というところで彼の挑戦は終わりました。
振り返れば長い挑戦の日々でした。 ( 試合写真・栗山はすべて青 )

小学校4年生から高校卒業までバスケットボール一筋に打ち込んできた彼が大学に入って、突然格闘技スポーツ・テコンドーを始めました。  龍谷大学では体育局の部はなくサークルというテコンドー。十分な練習環境や指導者もない中、今に至るまで力強いサポートをしてくれる素晴らしいメンバーに恵まれ、4回生では大きな大会にまで出るようになっていました。   長年テコンドー競技を続けているひとには技術で勝てるはずは無いと、毎日毎日桃山御陵大階段で走り込み等ボロボロになるまで身体を追い込み体力をつけていたようです。ようです、というのは大会の度に何故か島根滞在予定にて試合を見に行けた事はありませんでした。

大学で仏教を学び在学中に得度し本願寺派僧侶になった彼が卒業後警察官になろうと思うと言いました。何をしていても僧侶念仏者、反対はしませんでした。それどころか私などが全く経験してもいない事を真摯に取り組む中に、考えさせられ気づかされる事多い大変な道を選ぶものだと思っていました。  警察というのは「 取り締まる・捕まえる 」のが仕事ではなくて「 まもる 」というのがその仕事なんだろうなあ、などと話した気もします。


実際に大変であったようです。家に帰っては多くの事を語りませんが在職中4年間、目つきが悪かったように思います。里の駐在さんと違い大都会においては、嫌われ罵倒される事も多々。  独居死後数か月の部屋での作業、自死の方の姿、意思に反して犯罪を犯してしまう方、事故により突然に命失う現場・・・。何もない日は無かったようです。   
そんな中にあり夜勤明けで普通なら眠るところ、帰って来るなりウエア着て走り込みに。京都大阪の色々な道場に寄せてもらいながらテコンドーを続けていました。   有給休暇使いながら同僚にご迷惑かけながら大会にも出場し強化選手にも選ばれ、そしてついに平成29年全日本選手権74㎏級で優勝、日本一となりました。 その瞬間、各地でそれぞれの仕事に就いていながら応援に駆けつけてきてくれていた大学時代サークルメンバーが、本人より泣いていてくれた姿は忘れられません。

日本で一番になっても海外で戦ったら全く歯が立たない・・・。東京オリンピックで金メダルを目指し、多くのひとに感動を与えたい自分も感動したい、感動を共有したい。その為には海外で試合練習を積まなくては到底成し得ない、と大阪府警退職を決意。 特殊部隊SAT試験合格、競技続ける事を応援してくれる上司・同僚ある中、親としては「 もったいない 」の思いのみ( むろん固定給を含めて )。 ですが、彼の人生の決断。 退職と同時に収入はゼロ、海外武者修行となると全て個人負担、親はそこまで出せる余裕あるはずもなく彼も親がかりになる気もなく。

そこで取り組んだのがインターネットで不特定多数の方から募金寄付を募るクラウドファンディング。大学時代の先輩同僚の写真映像・文章のサポートを得て情熱の限りをぶつけてページを作成。100万円目標に120万円超える芳志が集まりました。    不特定多数と言えども熱い応援メッセージを書き添えて下さっている方々は実は、今まで彼が出会った方々ばかり。 サークルメンバー・警察上司同僚・友人・出向いた先でお出会いのあった方・・・。それがどういう意味であるかは彼はよく分かってあるようでした。    わたしはこのクラウドファンディングには全くノータッチ、親戚の誰にも声かけませんし知り合いにも、ましてやご門徒お同行さまのどなたにも。 彼のこれまでの歩みが切り開いたものであります、目標到達しなければ全て流れるこの企画が完成した時はこころより喜びました。わたしは出していないにもかかわらず(笑)。

お蔭にてその資金を持ってクロアチア・ルーマニア等に数か月。  帰ってきては競技継続に協力してくださるスポンサー企業を探す毎日。 大阪・京都・兵庫と色々な方に出会いながら相談にのってもらいながら練習鍛錬続ける日々。  随分沢山の名刺が机上にありました。帰ってきては、出会う時間頂いた方にその御礼葉書を書いていました。その葉書が嬉しかったとの返信葉書がきた時は驚き喜んでおりました、たとえスポンサー関係進展でなくとも。

そして現在所属している(株)ロードカーさまとの出会いが。 紹介して下さる方の熱い思いと受けて下さる人事の方の熱い思いがあったときいております。役員会議の時間にパワーポイント使って30分のプレゼンの結果、就職の形で競技継続ならびに小中学校でのスポーツ指導イベントを続ける事にお力添え頂く事になりました。以来、この間の試合でもどこでも《 ロードカー 》を背負って活動致しております。
数社お話があった中で「 スポーツ選手を雇うことで社会貢献がしたい 」と仰っているこの会社にお世話になりたいと思ったと言っていました。 海外で試合が終わった後子供たちがキラキラした目で集まってくれて、サインした紙切れ棒切れを大事に飾り決して裕福な環境でない中テコンドースポーツに打ち込んでいる事を聞かせてもらってから、よけいに思い強くなったのかも知れません。     

「 格闘技として思い切り蹴り合い闘うけれども、決して憎しみあってはいない。負けたとしても相手を尊敬する。自分がとことん誰よりも厳しく練習鍛錬したと思って挑んで負けたのなら、彼はそれ以上に努力したという事。尊敬する。 」

彼の言葉を聞きながら《 闘う事で、戦いのない世界を目指す 》などという言葉がうかびました。教えられます。

一度日本一になって以来、上まで勝ち進む事から遠ざかっていました。葛藤あったことでしょう。   これほどやっても負ける、ここまでやっても勝てない。資金の為スポンサー探しにも走らなくてはならない、その材料結果が中々出せない・・。  それでも様々な取り組みを見つけ出していました。上半身強化の為ジムに通う、減量しながらも持久力維持できる様にサプリメント会社に出向き相談して血液検査・筋力体調検査データを共有する、整体の先生の指導を仰ぐ、体感トレーニングのシューズ、練習後の筋肉マッサージ器機の試し、動体視力養う光点滅サングラス借用トレーニング・・・・。   自分でやってみて良いと思ったものは、何でも取り入れる貪欲さは見上げたものです。

そうする中でまた色々なひとに出会ってきたようです。  そのひと達の応援声援を背中で受けて、ブルネイでの大会で優勝、イスラエルでの大会で銅メダル、そして昨年11月の東京オリンピック二次選考会で優勝して最終選考会に進みました。

最終選考会前の最後の調整には、海外遠征で友人になった選手をたよりスペインに渡り10日ばかり自宅に泊めてもらいながらナショナルチーム練習に参加させてもらっていました。

そしていよいよ大一番、2月9日東京オリンピック最終選考会。
岐阜県会場なれど実に多くの応援者の方々が。  寄せ書きの旗を掲げ、ロードカーの応援幕掲げられ、男子女子のどの試合よりも大きな大きな大声援を受けて戦いました。
結果、25ポイント対21ポイントで敗退。  序盤点数随分取られていたのを怒涛の反撃で盛り返しましたが及ばず。  及ばず・・・。

試合後取材陣囲み取材の後、会場外に自然と彼の応援者が集まります。出てきた彼の敗戦の弁、いや感謝の言葉。  泣いています。  悔しさ、みんなの顔、想像にあまりあります。

「 廣大らしい試合だった! 」 わたしは大きく声叫びかけていました。
次の試合も決勝戦も7ポイントが勝者となるローポイントゲーム、緊迫した試合でありますが一方彼の試合彼の持ち味は前へ前へ、点取られても取り返す。前へ前へ。  その、彼らしい試合を見せてくれたのです、敗退してもなぜか私は・・・・。

涙引くのを待ってくれた彼の友人が「 みなさんで 写真を! 」 
みんないい顔でしょ!

彼の首には金メダル。  ボランティア活動している乳児院の子供たちが今日の為に作ってくれたと、院の方が応援に持ってきて下さいました。  嬉しくて、・・少々切なくて・・・。

ひとつの目指すところに向かって歩みます。 誰もみな。
その場所に到達することは尊いことです立派なことですが、その歩みのうちに出会う景色があります。出会うひとがあります。 出会う出来事があります。 
到達目標ではないそのひとつひとつを「 宝もの 」と発見出来るかどうかは、そのひとが持っている力です。 目に入らないひともあります、目に移っていても意味あるものとしてこころに留まらないひともあります。  ただの風景にしか見えないひと。

《 発見力 》といいましょうか、セレンディピティといいましょうか。

《 浄土 》を願生の土として示していて下さってあるわたし達。この生の目指す場所を大きくはっきりと言葉とされてある事の意味を合わせて感じます。その土あってこそ、今の日々にかけがえのない宝が発見出来きるのであろうかと。 ただ消え去る無意味に向かって歩む中での景色に何を見出せるのであろうかと ・・・・急にお坊さんでしたか。

彼の出来事はここ数年間で色々ありましたが、ここでは書かないようにしていました、あえて。
ひとつの大きな挑戦が終わった今、少々書いてみたくなりました。
どうやら彼は、4年後のパリオリンピックを目指すようです。 今はそう。
何にせよ、彼には楽しみももらえましたし、多くのひとが彼にメッセージを送る中で「応援」するという事をゆっくり考えてみるテーマと頂きましたし、その他もろもろ・・・。

わたしの セレンディピティ の縁者、と感謝しております。  そして何より。
影に日向に力強い応援声援頂き続けました沢山のみなさま。
ありがとうございました!


《 「テコンドー最終選考会」「スポーツブル」の2つの検索ワードで試合動画がご覧になれます。彼の試合はその動画の2時間43分位からです。 お問い合わせありましたもので。
2020・2・15 追記 》

西蓮寺十七代住職釈知浩   古書画保存修復師

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   ようこそ ようこそ。

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