諸仏咨嗟。

掛軸にご縁となって頂いたこの秋彼岸でした。
19日には富山高岡市。高岡教区の有志坊守さまにお招き頂き高岡教務所にて「掛軸の取り扱いとその修復」について2時間ばかりお話させていただきました。15~6幅のお軸を持参して表装の種類・修復とはどういった作業を施すのか・その時期の見極め・応急処置でして良い事悪い事・お軸を傷めない最適な保管・・など。    途中で次々ご質問の手が上がるほど皆さん真剣にお聞き頂き、会の終わりには実際にご自坊から持参されたご本尊軸を広げて「とあるところで修復を断られたが修復可能か?した方が良いのか?・・・ちなみに ヒヨウは・・?」との積極的なご質問も頂きました。 
内陣・床の間、お寺に軸物は不可欠、というより宝です。寺宝。
新しいもの高価なものが、ということでなく。 それを迎えられた代のご苦労と受け継いでこられた代々の想い。 有難いご縁でした。

そのお軸達を車に乗せたまま20日、西蓮寺に帰山。23日の彼岸会では本堂に掛けながら色々なお話を。( いつもカメラはお任せしておりますが、この度は本堂内の写真はありませんでした。お昼食の様子とお帰りのご様子のみ。法座後夕方カメラ内覗いて苦笑。 いえいえ有難うございます。 ) 

そのお軸達を大風呂敷に包みまたまた車に乗せて24・25日と益田の龍光寺さま彼岸会のご縁。 全席ではありませんが特に2幅を。一幅は那須恵斎師の描かれた『阿難・舎利弗・大迦葉』。 
阿難尊者は涅槃図に描かれてあるエピソードから。師匠お釈迦様がお亡くなりになって気絶された阿難とはどんなお弟子さまであったのかを。 
智慧第一といわれた舎利弗尊者、その智慧とはどういうことかを< 壁を磨く絵師 >のお喩話から。 
大迦葉尊者、マハーカッサパ。唯一お釈迦様から身に着けておられる衣を受けたお方。どのように頂かれたのかそしてその衣を受け継ぐという意味と、最期その衣をどうされたのか。 

いま一幅は、金珉氏の描かれた『 白蓮華をたもつ観音菩薩 』。 
このお軸はスルスルと下ろし広げると「 おお~! 」「 まあ~! 」と感嘆の声が上がります。綺麗ですね、なんとも。 なんとも。  パッと目にした時 おお~ と思い、しばらく見つめるとまたじわじわ色んな感情が湧いてきます。
「 観音薩埵のかんむりに やどれる姿いとたえに 」「 観音頂戴冠中住 」自らの冠に常に阿弥陀仏を頂いておられる観音菩薩。頂く、とはどういうことか。 
「 白蓮華 」蓮の中でも真っ白な蓮、プンダリーカ分陀利華のこころ。
そして、「 散りゆくさきは大地なり 」   大地あればこそ。
いのち育む大地に。    後に歩む者の足をささえる大地になります。 

法座あとにお軸仕舞いに本堂内に入ったとき、ふたりのお同行さまがお軸の前で正座してじっと見上げておられます。     おひとりは、手を合わせながら見つめておられます。  しばらく離れたところからそのお姿を。
わたしに気づかれ、お礼申されました。    いえいえ、わたくしがお礼申し上げます。    拝

 

西蓮寺十七代住職釈知浩   古書画保存修復師

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