< 信心かぞえ唄 >。

もう2月に入っておりました。矢の如し。
1月16日は当山御正忌のお勤め。寒い日でありました、遠路お参り下さいました10数人のお同行さまと法縁の一日をご一緒させて頂きました。

前日15日に一本のお電話。『明日お参りさせて頂きますが、つきましては〇〇さんのお電話番号をお教えいただけませんか?』車で迎えに行くので良ければご一緒にお参りをと、お誘いしたいとの事。
〇〇さんというおばあ様。父の代どころか祖父の代からお参りご聴聞頂いていたおばあ様。遠路ご自分で車を運転して、年七回のお座にほぼ皆勤に来てくださってありましたが、昨年はほとんどお顔を拝見する事ございませんでした。80歳をとうに越え、免許を返上なさったのです。

昨年のお正月には最後のご挨拶をと、本堂にお参りくださいました。『 長年お世話になりました。さびしいですが・・今日休みの娘が、お寺に連れて行ってあげる言うてくれたんで嬉しゅうて・・・ご院家さんにはまた、うちの報恩講で会えますし・・。』 

どうしてもお参り下さいと言っていた昨年10月の遠忌法要には、お参りくださいました。何便か用意したお迎えの車に乗って下さってであったかと。 
その日印象深かった事のひとつにこのおばあ様のお姿がありました。節談説教のご講師が午後の席で唄われる唄に、どこからか一緒に唄われる声が。 振り返るとこのおばあ様でした。  手を合わせてご講師先生のお顔をジッと見つめて。  『 ・・・覚えておられるんだ・・。』

そして16日、ゆっくりと本堂に入られるお姿が見えました。よろこんでよろこんで。
おばあ様を迎えにいって下さった50代の女性( このお方がお参りに来て下さるようになったのにも不思議なご縁がありますが )、互いに挨拶されるくらいにてそれほど親しくはなかったそうですが、もうお参りに来れなくなると話されていたおばあ様の声を何度か遠くで聞いていたと。15日にふと思い出して、もし自分が迎えに寄ってお参りされるのであれば立ち寄るのだが、電話番号も知らない。そこでお寺にお電話下さったのです。 ご迷惑でなければと。 
その思い、思いだけでなく実際に行動にして下さったことに何とも頭が下がりつつ。

この16日におばあ様が3枚の便箋を見せて下さいました。< 信心かぞえ唄 >。 
遠忌法要の日、ご講師先生が唄われた時、小さかった時何度も聞いたその唄が思い出され思わず一緒に声を出してしまったと。なつかしくて嬉しかったが、一緒に唄えば思い出すがひとりでは思い出せない。そんな話を娘にしたらインターネットやらで調べてくれた。自分で書いてみた。
『 おばさん、これちょっと借りていいですか。コピーして今日のみなさんに貰ってもらいましょう。そうだ、今日はおばさんに唄ってもらおう。いいですか? 』

如来さまのおこころを何とか伝えようと様々な手立てが。信心かぞえ唄も。ひとの出会いも。

シュンシュンとお湯沸く静かな聖人ご命日の本堂に、きれいに響くおばあ様の唄声。  聖人のご命日です。

住職釈知浩 (栗山知浩)

平成14年・西蓮寺十七世住職継職
古書画保存修復表具師でもあり、島根と京都行ったり来たり。

山に囲まれた小さなお寺。
たまに人が集まり、タヌキも集まり…
あなたもそこに仲間入り、ようこそ。

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