ひっくり返す。

京都のお正月は61年ぶりの積雪の多さだったらしく、『 島根も大変だったんでしょうねえ。 』 と会う方々が仰って下さるのですが、積雪1センチくらいだったんです。 すみません。 いや、皆さんのほうが大変だったのに、ご心配いただいて・・・。

その1月2日、三隅町内にある 《 石正美術館 》  ( 日本画家・石本正氏の作品を常設展示する館。 お寺から車で10数分。 ) に。
新館 にて浜田高校美術部時代の恩師 < 加賀羅聰 先生 > の作品が展示されるとの事で。  6号から100号を超えるものまでの油絵30数点 ( 東光会展・日展作品等 ) が陳列されていました。  そしてこの度は < 加賀羅聰先生を囲む会展 > と銘打ってありまして、浜田高校・益田高校・津和野高校での教え子の最近の作品も30点ほどギャラリーに並んでいました。  

会期初日であれば、先生にお会い出来るかと思い出向きました。  おられました。  『 いやいや栗山君。 』  とすぐに分かって頂きました。  ・・・・こんなに姿かたちが変わってしまっているのに・・。 『 君が東光展に出した画、あれ好評だったんだよ、よく憶えてる。 』 

いや~、そんな事まで。  恐縮です。 教師ってすごいんですねえ。  先生がすごいんですか?

色々お話しながら画をご一緒させて頂きました。 そのうち 『 君の年代も誰か出品してくれたら良かったのに・・。 』
すみません! 部長でありながら。   一か月前に世話役の方から出品依頼の封書は頂いていたのですが、何せ最近も何も30年以上描いていないもので・・・。   唯一、20年前に描いた聖徳太子の幼少像がありますけど、日本画ですし 自分で掛け軸に表装しているし・・皆さんに仕事をアピールしているみたいだし・・・。  と差し控えてしまいました。    出品はほとんど私より大先輩年齢の方々、存じ上げないお名前ばかり、普段のお付き合い不義理を思い知りました。

それでも嬉しかったのは在学時代に美術室で描いておられた< カンガルー> に出会えた事。  あの頃の記憶が一挙に蘇りました。
放課後美術室に行くと、カンガルーの画をひっくり返して、いつまでも見つめる先生が。   何度もその姿を見かけました。
わたしも真似して描く途中の自分の画をひっくり返してみたり・・・。   思いこみの形でなく、色が見えるという事だったんでしょうか?
今は、そう理解しています。  

画だけでなく、色んなものを < ひっくり返して > 見ると、思いこみの殻から出て、違うものに 『 ハッ!』 と気付かされる事があるかもしれませんねえ、先生。  

西蓮寺十七代住職釈知浩

古書画保存修復師

緑に囲まれた山寺

  春 鳥の声、 夏 蝉の声
   秋 虫の声、 冬 雪の声
 
     ようこそ ようこそ 

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