見た目が全てじゃない。

10日11日で島根往復。 修復を終えた本堂内陣の親鸞聖人御影軸を届ける旅。 12日から法要なのでそれまでに、と依頼されていました。
縦7尺4寸・横3尺6寸と、とても大きな御軸。 真向き の聖人絵像です。  これだけ大きな軸を厨子の中に納めるのですから、さぞかし大変な作業であろうと思っていました。  西蓮寺の本堂の厨子に納まっておられる御軸は、この御軸の半分位の大きさですから・・・。
しかも厨子の屋根の高さより、御軸縦寸法のほうが長いのですから 大変な作業どころか手品か魔法を使わないと・・・。



と思っていたら、なんと驚き!     厨子のお扉を開け正面からお掛けするのではないのです。

住職が裏にまわって、厳重に封印されていた厨子背面の板壁を ギギ~ っと開かれました。 
その板壁の最上部に打ってある釘に御軸を掛けられて、また ギギ~っと閉められる。    そして正面にまわってみると、なんと ちょうどいい高さに掛けられた聖人の御影軸が! 

『 ああ・・帰ってこられた・・。 』  と 合掌されるご住職と一緒に手を合わせました。   ご門徒さまもほとんどご存知ないはず、後ろ板壁を開けてお掛けする事・厨子に隠された想像よりはるかに大きな御軸である事。  そしてこの度の修復に際し、費用も抑えられるであろう見えるところだけのコンパクトな大きさに直すのではなく、代々が永くまもってこられた大きさそのものに直された ご住職のおこころを。       

何故 こういう形であるのか・このまま伝えていこうとされるのか・・・・いつかお話されるのはどうでしょう・・ご住職。

西蓮寺十七代住職釈知浩

古書画保存修復師

緑に囲まれた山寺

  春 鳥の声、 夏 蝉の声
   秋 虫の声、 冬 雪の声
 
     ようこそ ようこそ 

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