はじめてのお使い・・いや、《 茶事 》。

24日午後4時、神戸・山西邸 《 茶事 》。

『 えっ、全くの不心得者ですよ 私。 ・・・そうですか。 ・・・いや、それは喜んで。 ・・・はい、ありがとうございます。』

謙遜でも何でもなく、本当に右も左も心得ぬ私。 いつ動くか・どう扱うか・何を言葉にいつ言うか・・・フクサ・・カイシ・・オウギ・・クロ何とやら・・果ては、襖の開け閉めから歩き方に座り方まで気になってきつつ 電話をうけました。

『 えっ、料理人を家に呼んでですか?・・・そうですか・・お酒も・・いや、大変な楽しみですよ そりゃあ。 』

きっと杯の作法、箸をつける順番も まわりの方々との・・・・つのる不安。       そして24日午後4時。 始まってしまいました。

正客は陶芸家某氏、お詰めは古美術愛好家某氏、わたしは次客にして頂いて 炭点前から。  

御軸・器・窯・盆・酒器・盆にいたるまで山西亭主の桃山時代を愛する美意識に圧倒されつつも 存分なる存分なるご接待。   目にするひとつひとつを語り合う皆さんの知識の深さと広さに敬意を表しつつ穏やかな時間が流れます。 ちなみにこれは、松葉の絵・竹の箸・梅の菓子で《松竹梅》。 季節ですねえ。     そして、待ち合いに退いて 鐘が鳴り 《 濃茶点前》。  掛け物がはずされた床の間には 華生け。
炭の音と湯の沸く松風のみの中、亭主のさばきを見つめます。 そして《 薄茶点前》へ。
無粋にも撮影をお許し頂き、何も知らない私に丁寧にお教え頂きつつ ( 十のうち 一しか残っていませんが ) 終始和やかに愉快に過ごさせて頂き、気がつけば 午後8時すぎ。        
作法・様式美も学びましたが、何気なく置いてあるものにも もてなす方の数日前からのこころが込められてあり、それに気付く方があり。  《 語り合う 》事が真髄か・・・などと思いつつ電車に揺られて神戸を後にいたしました。

ただ一度で何がわかるものではありませんが、これからの私に必ず何かを与えて頂いた事でございます。
ありがとうございました。



西蓮寺十七代住職釈知浩

古書画保存修復師

緑に囲まれた山寺

  春 鳥の声、 夏 蝉の声
   秋 虫の声、 冬 雪の声
 
     ようこそ ようこそ 

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