≪ 出山の釈迦 ≫

 6年間の生死を彷徨う程の苦行でも≪ 悟り ≫の世界に入る事の出来なかった< ゴ―タマ・シッダ―ルタ >=< 釈尊・釈迦 >は、山を降ります。  苦行を共にしていた5人の仲間からは 『 あいつは堕落した。 』 と言われながらも、川で沐浴し村娘・スジャータの差し出した乳粥を食し菩提樹のもとに座し、静かに瞑想に入ります。  そして、あらゆるものの真実の有り様に目覚められ ≪ 悟り ≫の世界に入られました。 

 山を降りる 『 出山の釈迦図 』 は、有名な作もあります。 像もあります。
これは修行中か苦行を止める決意をされた時か・・。

  菩提樹は描かれていませんし、岩に囲まれていますし。  あばら骨の印象強烈な座像を見た事がありますが、この画も随分やせ細っておられます。
 しかし表情が苦行中とは思えず・・で、苦行を止めるという大きな決意を持たれた直後ではないかと。          絹本かなり弱っています、大事に修複いたします。

 余談ですが。
『 如来 』・『 仏 』は( 釈迦如来・阿弥陀如来など ) シンプルな( 粗末な )衣を身にまとっておられて、『 菩薩 』は( 観音菩薩・勢至菩薩など ) 冠・首飾り・腕飾りに美しい衣をつけて描かれ彫られていますね。 なぜか?

 お釈迦様と重ねて現わされてきたからです。
≪ 菩薩 ≫とは≪ 如来・仏 ≫になる前の位です。 悟りをひらき次には必ず≪ 如来 ≫となる方を≪ 菩薩 ≫といいます。    お釈迦様は悟りをひらかれた時は粗末な衣でしたが、その前はどうであったか・・。

お釈迦様は、思い立ち苦行に入られるまでは≪ 釈迦族の王の子・王子 ≫としてカピラ城に暮らしておられました。  ≪ 菩薩 ≫の姿は、悟りをひらかれる前のお釈迦様の姿・ファッション( 王子としてお城で身に着けておられた姿 ) で現わされていたんですね。

   ・・・・・エラそうに言ってますが・・もちろん お聞かせ頂いたお話です。
                         すみません。
   でも、そう思って拝見すると またひとつ 思いが深まりませんか?

西蓮寺十七代住職釈知浩

古書画保存修復師

緑に囲まれた山寺

  春 鳥の声、 夏 蝉の声
   秋 虫の声、 冬 雪の声
 
     ようこそ ようこそ 

Copyright © 2010 Sairen-Ji Temple. All rights reserved.