< 直筆 > ?

  

 修復。    中世宗教界の巨人、あの方の書ではないかと言われながら 持ち込まれた一幅。
  ご覧の通り、かなり痛んでいます。 本紙の横折れの部分が100本ではきかないでしょう。

 さてさて、作業開始。  裏から霧を吹いて裏打ち紙( 総裏紙 )を除去。 裏からの第一層を除去すると、以前に修復された時のご苦労の後が・・< 折れ伏せ・折れ止め > 。  オビタダシイ本数です。 折れ痛み1本の裏に 一本入れるのですから、この時 ( おそらく、100年位前 ) 本紙に100本以上の横折れ痛みがあったのでしょう。   < あの方 >の直筆本物だとすると ( そうだという品は何幅か来ましたが、これは どうも そうです。 ) 450年は経っているわけで、その間 一回の修復というのは・・・。  3回は必要でしたねえ。  そうしていると、もっと 良い状態で残っていたはずですが・・。

 それにしても、廻り裂地の状態と見比べて 今の本紙の痛みの原因は、この修複折れ止めが うまく機能していないという事なので、全て撤去します。  半日かけて撤去完了。   本紙の表面の汚れを レーヨン紙にしみ込ませ洗いながら、新しい裏打ち紙で 裏打ち。
 
  折れだらけの時には分りにくかった痛み・破損部分も はっきりしてしてしまいましたが、これが 現状です。  そして、これからが勝負です。

 もう、これ以上痛ませませんよ! 

西蓮寺十七代住職釈知浩

古書画保存修復師

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