ゴミ・護美。

  『 ああ・・また今日もゴミがたまったなあ。 』

切ったり貼ったりしていると、もう使えない不要な紙・裂地部分が沢山でてきます。 メモにでも使えそうなところは、切リ揃えて残してもいますが・・・。         ゴミ・・。

 そういえば、西蓮寺の本堂の後ろの部屋。  講師僧侶の控え部屋 ( 昔から 「後ろ堂」 という名で呼んでいます。 ) に、子供の頃は ≪ 護美箱 ≫ と書かれたゴミ箱が置いてありました。  ゴミ箱を買う・・などという考えなど全く無かった頃 祖父が作ったんでしょう、四角い箱に丁寧に何度も和紙を貼り 筆で ≪ 護美箱 ≫ と。

 当て字だそうですが、なるほどと思って見ていました。  あたりの美しさを護る為に 身を呈している姿の神々しさに、容易く < ゴミ > など入れられなかったもんです。   ( じゃあ、何の為にあったんでしょう? )
     ・・・・ そういえば、いつのまにか 無くなっています。

   きっと、どこかに安置されているに違いありません。

 さて、これは < ゴミ > か < ゴミ > では無いかは、それを見て受け止める人によって違います。
不要か必要か・・。   勿体ないか、勿体なく無いか・・。  思い入れがあるか、無いか・・。

        ここに、数週間前の花籠に添えられていた 紙で作った犬 ( プードル?) が居ます。

 『 なあなあ 見て! ずっと貰った事がないのに、あの子が花 くれてん!  どうしたんかなあ! 』

 母の日に息子から貰った < 花籠 > に立っていた < 犬 >。
花はとっくに枯れてしまって、部屋からは姿を消しましたが、 なぜか 何時までもここに立っている < 犬 >。

世界中の人が、『 それは、ゴミだ。 』 と言っても < ゴミ > で無いモノがありますよね。

 < 美しさを護る箱 > にも入れられないモノ。

西蓮寺十七代住職釈知浩

古書画保存修復師

緑に囲まれた山寺

  春 鳥の声、 夏 蝉の声
   秋 虫の声、 冬 雪の声
 
     ようこそ ようこそ 

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