法という鏡。

  大雪の地方のニュース映像を目にすると、そこに暮らす方のご苦労を思い胸が痛くなります。
京都・伏見は積雪0ですが、非常に寒い一日でした。
朝、バイクで走りましたが、手袋をしていないかの様に指先が痛くなり 着いたお家の前で身体のアチコチで指を温めないと玄関を入れません。 お部屋は暖められていて、お勤めするうちに身も心も溶けてゆきます。
 < あたたかい >事の有難さは、辛い寒さを通らないと判らないのでしょうか・・。
しばらくすると 暖かい部屋を有難く思った事もどっかに飛んで行ってしまって・・・< なれ>てしまうのは早いです。

 『 あたり前の事って、有難い事の積み重ね 』 ・・・との言葉があります。

< 最初から あたり前の事 >などあるはずは無く、すべて最初は < 有難い事 > で、そのひとつひとつが積み重なってゆくうちに、有難い事をスッカリ忘れて < あたり前 > しか残らなくなってしまいます。
部屋を暖めて待っていて下さった あたたかいお心さえ、すぐに忘れてしまうボンクラな私・・。

 お隣さんが九州に旅行に行かれました。 『 これ、ホンの手土産です。 』 と、明太子。   『 いや~いいんですか? 好きなんですよ、ありがとうございます! 』      ・・・・また、そのお隣さんが旅行にいかれました広島に。 『 これ、もみじ饅頭です。 』   『 いや~いつもすみません。 ありがとうございます! 』

 旅行好きなお隣さん、今度は北海道に行かれました。   ・・・帰って来られたはずなのに・・・。
『 お土産来た? ・・そう、まだ・・。』   『 出会った? そう。 なんにも言われない? ・・そう。 』
『 どうしたんだろう? 』  『 何か うちが悪い事したか!?  なんで持って来ないんだぁ!! 』

 コワイですねえ。  < 有難い >事は 積み重なると < あたり前 >になり、なんとそれを通り越すと< 不足 >
になってしまうんですよ。    コワイですねえ。  ・・・この喩えはフィクションですよ・・・一応、念の為言っときます(笑) 

 わが身の今の < あたり前 > が、実は < 有難い事 > と振り返れる 『 鏡 』 を持ちましょう。 

西蓮寺十七代住職釈知浩

古書画保存修復師

緑に囲まれた山寺

  春 鳥の声、 夏 蝉の声
   秋 虫の声、 冬 雪の声
 
     ようこそ ようこそ 

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