何か言ってほしいですが。

    『 もう ダメじゃろうねえ。 この度で最期にしよう・・・。』

昼過ぎ、78歳の老母が唐突に言いました。
長年、使ってきた < おくど >さん。     すでに何度も修複を重ね、それでも歴戦の傷み見かねるものがあります。  電気よりもガスよりも信頼厚く付き合ってきた母にとっては、悲しい決断であったと思います。

 法座の度に、どれだけ沢山のご飯を炊いてきたでしょう。 どれだけ沢山の< お煮しめ >を、 味噌汁を作り続けてきたでしょう。

 沢山のお手伝いのおばさん方の声を聞き、冬には 温められる <おでん> を覗きにきた子供達の歓声を聞き、きっと 楽しい日々であったに違いありません。

 今朝、お手伝いくださる方と話している内に そろそろかなあ・・と思っていた事を決断したようです。
< おくどさん >を前に相談しました。  遠くないうちに ガスコンロが並びます。
言葉を喋るなら、なんと語るでしょう。      せめて、雄姿を写真に。
     戦友の < 大釜 >とも一枚。
  お疲れさまでした。    ありがとうございました。

西蓮寺十七代住職釈知浩

古書画保存修復師

緑に囲まれた山寺

  春 鳥の声、 夏 蝉の声
   秋 虫の声、 冬 雪の声
 
     ようこそ ようこそ 

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