幽霊だらけ。

  以前 < あれこれ > に載せた(6月8日付) 柳の墨画。    こんな額装にいたしました。
 銀泥の縁・銀蘭の裂地、文様柄は 波 。    ここ伏見のベランダから、川沿いで揺れる柳並木が見えます。酒蔵の黒い木壁の前で ユラユラと・・。  川面のさざ波をイメージしてみましたが どうでしょう。

 < 柳 > と言えば < 幽霊 >。
『 幽霊って見た事ある?  まだ ない? 』   ・・・今年の夏も子供がお参りしてくれている法事の場で、何度かお話しました。          『 日本の幽霊の 三大特徴って知ってる? 』    この話を始めると 子供たちは目をキラキラさせて 食いついてくれます。

 『 そう、足がない! あと 2つ。    そう!手をこう ダラ~んとしてるね。 あんまり ガッツポーズで 「よっしゃ~!」って出てくる幽霊はいないねえ。  あとひとつ・・・・よくわかったねえ。 そう、髪の毛が長い。  ぴち~と パーマした幽霊もあんまり見ないよねえ。 』

 髪の毛が長いのは、< 過去への悔い >の現れ。 後ろ髪を引かれています。 
力なく ダラ~んとした手は、< 未来への不安 >。 この先どうなるか掴めず、力なく。
そして、< 現在 >。今 自分がどういう立場にあるかわからない。居場所・立場にしっかり足を付けて立つ事が出来ない。  過去へ悔いばかり、先の事は不安でしょうがない、今の自分の有り様さえわからない・・・・。

 実はあの姿は 死んで出てくる幽霊ではなくて、今のわたし達の姿・・・『 あなた、こんな姿じゃありませんか? 』
と、仏さまの問いかけ。              言ってもしょうがないのに 思ってもしょうがないのに グチグチと引きずって、先の事には「どうせ・・」「どうでもいいや・・」と投げやりに力なく。それもこれも 生まれる前から とてもとても沢山の方々に願われ、支えられ続けて 今の自分がある事の大変さが見えない・わからないから・・・・。『 誰の世話にもなっとらん! わたしひとりが がんばっとるんだ。 』
            そんなところに落ち込んでいる時はないですか?       その時のあなたは、ひとから見ると こんな姿ですよ。・・・・幽霊です。   お~~恐・・。

西蓮寺十七代住職釈知浩

古書画保存修復師

緑に囲まれた山寺

  春 鳥の声、 夏 蝉の声
   秋 虫の声、 冬 雪の声
 
     ようこそ ようこそ 

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