明日は。

     明日は、当 西蓮寺の 『 彼岸会 』 です。
昨日より慌ただしく庫裡の掃除をはじめ、今 本堂のお荘厳を済ませ 一息です。

 京都から 帰山する前に (楠氏) の作品に出会いました。   おそらく ( スジャータ ) です。
長年の苦行で 酷くやせ細っておられた お釈迦様に 一杯の乳粥を差し出した・・と言われている村娘さんです。  清楚な姿なれど 差し出す手・見つめる瞳に なんとも力を感じます。

頂かれたお釈迦様は、身体を痛めつける苦行を止め やがて 菩提樹のもとに座し、さとりの時を迎えられます。

 この 画に ( 貧者の一灯 ) のお話も重なりました。 この画はもしかして ( ナンダ ) かも知れません。今度 聞いてみます。         お釈迦様をお迎えする為、沢山の灯が用意されました。     裕福な人は 多くの灯を差し出されます。  貧しき娘 ・( ナンダ ) も灯を お供えしたくて油を求めますが、油たったの一つ分にもお金がたりません。 ついに 自分の長い黒髪を引きかえにしてでも 油をください と頼みます。 そこまでするのは お釈迦さまの教えに心うたれ、せめて 灯の布施を・・・と聞いた油屋は 『 そんなにまでしたくなる様な尊い方なら 私も布施しよう 』 と、足りないお金は 受け取らずに油を分けてくれました。         

 その夜、灯が灯され お釈迦さまの お話の集まりが催されました。   夜が明け、かたずけをしていたお弟子は たったひとつだけ 消えていない灯を見つけます。  いくら消そうとしても消えません。   お釈迦さまのところにいって どうしたものかお聞きしました。  『 それは (ナンダ) の灯です。 どれほどの大水でも 大風でも 消しさる事のできない尊い 灯です。 』 と 仰いました。      その小さな灯は、いつまでも まわりを 照らし続けました。・・・・・・・・・こんな お話です。

 明日の彼岸会の 午前は この度の震災でお亡くなりになった方々の哀悼のお勤めを、と思っています。
『 葬儀どころか、一巻のお勤めさえできずに・・・ 』 とのお声が聞こえました。
読むお経に 人を成仏させる力があるなどと オコガマしい思いは ありませんが、出会った事がなくても 繋がっている私達です。  お集まりの方々と 手をあわせたくおもいます。  そして なにかできる時までの思いを共にしたく思います。

西蓮寺十七代住職釈知浩

古書画保存修復師

緑に囲まれた山寺

  春 鳥の声、 夏 蝉の声
   秋 虫の声、 冬 雪の声
 
     ようこそ ようこそ 

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