言葉にすれば・・

  今日は西蓮寺から 4kmばかりの所にあるお寺に参りました。海の近く、座敷から海の見えるお寺です。  山のお寺にとっては、いいなあ・・・毎日 海が見えて・・・と思ってしまいますが、潮風で 自転車もすぐ錆びるし 風の強い日は恐いし との事も聞いています。
 どこも いい所、難儀な所 ありますよねえ。

 お話が終わって ひとりのおばあさんが控室に訪ねてこられました。
私の父がおばあさんに送った手紙を 私に見せたくて、どうやら わざわざ 一度 家に帰って持って来て下さったようです。        おばあさんは、私の祖父<平成3年 94歳にて還淨>と大変親しかったお方で あちこちに出向き祖父のご法話のご縁にあって下さっていました。 祖父は お寺で息をひき取りましたが、おばあさん その直前にお見舞いに来て下さっていて、その事についての 父のお礼の手紙です。

 そこには お見舞いお礼の言葉と、祖父の最期の様子が書かれてありました。
祖父が 息子である父に言った 言葉が。  読ませて貰いながら、おばあさんが仰いました。
  『 私にも 同じことを 仰いました。 』

  『喋るのも辛そうな中、寝ておられる部屋に掛っている 近角常観先生<祖父が敬愛していた先生>の書かれた書を指差して・・   <・・あれじゃ・・あれしかないけえの・・>  と。 』

 ≪ そらごと たわごと まことあることなきに、ただ 念仏のみぞ まことにておわします ≫

と 書かれた色紙です。    とても 大事にしていました。
色あせていますが、今も 掛けてあります。

 おばあさんが 仰いました。    『 ご院家さんのお話 聞いとって、古いご院家さんやら お父さんを 思い出して、どうしても この手紙を 読んでほしゅうなりまして・・お忙しいなか すみません。 』

 いえいえ おばさん、ありがとうございます。
嬉しいです。 何がって・・色々 嬉しいです。しばらく 言葉にできそうもありませんが・・色々嬉しいです。
     ありがとうございました。 どうか お身体 御大事にしてください。

西蓮寺十七代住職釈知浩

古書画保存修復師

緑に囲まれた山寺

  春 鳥の声、 夏 蝉の声
   秋 虫の声、 冬 雪の声
 
     ようこそ ようこそ 

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