ど~ん で、ぱ~ん と。

 昨年 11月始めに <あれこれ> で紹介しておりました 『祖父のお名号』。 軸装 仕上がりました。
    11月の写真と見比べて頂いたら なるほど と思って頂けると思いますが、やはり 表装っていいですね。
廻りを飾られると、中身に より いっそう 深みが出てきます。  < 場所をえる > という事があるので、掛るべき ご当家の床の間に掛ると きっと もっと 良くなるでしょうねえ。

 ところで この書には、向かって左下にあるべき 誰が書いたという <名前> も <落款> もありません。
せっかくだから、書いておいて下さったら良かったのに・・・と言われるお方もありますが、これには ワケがあります。

 < 南無阿弥陀仏 >は、仏様の <お名前> です。
阿弥陀様・は、本名 南無阿弥陀仏様です。     仏様のお名前の横に ひとである自分の名前は並べない・誰が書いた という事は問われる事でなく、顕わされた お名前そのものが尊い・・・・という事で、自分の名前は書きません。    仏様を敬う心の あらわれです。

 たまに 新聞チラシ とか、町の ショウウィンドウで 『 どうだ~! 』 と、ご自分のお名前が書かれてある 名号軸を見かけますが、 ああ~仕方ないなあ ・・と思ってしまいます。
人間、自分の名を 前に出したい という 欲 があるもんです。  認められたい 褒められたい・・・なんか、書きながら 自分の事を言ってるような・・・お恥ずかしい。
 掛ける方にしてみても、 『 これは 誰が書いたから立派だ・・高価だ 』 と見てしまう 心のさもしさがあるのも、名前が並べられる 因のひとつでしょうが・・・・・・・これまた お恥ずかしい。

 で、祖父も父も お名号には、自分の名前も 印も入れていませんでした。   どうしても・・という時には、軸になった時 その裏に <裏書き> として書いていました。   もちろん お名号以外の書 {正信偈・一行書とか 仏語のいろいろ・・}には、ど~ん と書いて、ぱ~ん と押してありますね。    (微笑)



西蓮寺十七代住職釈知浩

古書画保存修復師

緑に囲まれた山寺

  春 鳥の声、 夏 蝉の声
   秋 虫の声、 冬 雪の声
 
     ようこそ ようこそ 

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