ぶつけてしまいました。

先日、浅野均氏が自宅に来られました。
数々の賞を受賞されている日本画家で、京都芸大教授でもあります。
以前 氏の作品を軸装にとのご縁を頂いた事もあり、今回は…まあ、それは置いといて。

浅野先生の画は大きなものが多く、4メートルを超える作品も少なくありません。
今年 京都で見た ある作品の前で、声をあげてしまいました。

    『 これは……法蔵菩薩だ 』

巨大な額いっぱいに 圧倒される程の < 岩 > が描かれてあります。
その中に閉じ込められているかの様な 片膝をかかえ座っている黒い人影。
画の上部、わずかに描かれてある岩の上は 明るい草原のような…。

『 画題は確か、<考える人>でしたか? 』   『 すべてのいのちを救い、導く方法を はかりしれない長い間 思惟し続けられたと説かれてあるのが <法蔵菩薩>なんです。』   『 そして 阿弥陀如来となられたんです。』    
『 阿弥陀如来のお姿は、絵に描かれたり 像にあらわされたりしてますが、法蔵菩薩は ほとんど 描かれてないんです。 』   『 描くべきではないって事かも知れませんが・・・。 』 
『 でも、僕にとっては あの作品は正しく <法蔵菩薩>です!  ああ~こういうあらわし方があったかあ・・と思いました。 』

などと、矢継ぎ早に 先生に語ってしまいました。   おはずかしい・・・。

じっと 穏やかに聞いて下さっていた先生と その作品について色々お話し、当たらずとも遠からず かな・・と。
もちろん 先生は < 法蔵菩薩 > との思いで描かれた訳ではないのですが、いいんです。
僕にとっては・・というのが大事で。

観音菩薩のように、冠・首飾り・腕飾りで飾られた姿でなく。  この世界の根元でただひとりで ひたすら ジッと考え思い続けておられる・・私のことを。
 う~ん…いい画です。 はっきり思い出せます。

みなさんも、 機会があり 是非ともこの画にお出遇いできます事を願います。

いや~先生に思いをぶつけられて良かったです。  先生にはご迷惑だったか・・すみません。           

西蓮寺十七代住職釈知浩   古書画保存修復師

山に囲まれ狸がお参り・・・
そこにあなたも仲間入り・・・
   ようこそ ようこそ。

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