≪第9回 現代日本画の試み展≫ in 壽光寺。

 『 栗山さん、仏さまってなんですか? 』 で、始まったのか。
 『 井上くん、仏さまの姿ってね・・。 』 で、始まったのかその始まりは憶えていません。

 とにかく二人して≪ 仏さま ≫・≪ 仏さまの姿 ≫・≪ 仏さまのお名前 ≫・≪ 仏さまの願い ≫
・・・随分色んなお話を重ねた様に思います。      杯、片手に。
わたしは酔って憶えていなくても、彼は憶えていて自分の中で咀嚼していたんですねえ。
 ある日 『 作品出来ました。 』 と見せてくれて、 『 ?? 』 と思いつつ説明を聞いて、軽く鳥肌が立ちました。
                    QRコードっていうんでしょうか。
携帯電話等をかざすと情報が読み取れるんです。  この中に情報が入っているわけです。
     銀箔を焼いて複雑な色にして、それを箔押し。      で、なんという情報が入っていると思います?

 なんと ≪ 南無阿弥陀仏 ≫ という文字が顕れるんです!
つまりこの軸は、≪ 本尊 ≫です。     そして、この不思議な表装の形は彼のリクエスト。
 日本の仏表装の源流、チベットの ≪ タンカ ≫ の形です。 

 仏教は偶像崇拝の教えではありません。   像そのものを 有難く礼拝しているわけではありません。
彫られた像・描かれた絵像・仏の名前を文字で書かれた名号・・・それによって現わそうとされてある≪ 世界 ≫、現わそうとされてある≪ 願いそのもの ≫に手を合わせています。

 ≪ 世界 ≫も≪ 願い ≫も形には表わせません。   形もなし、色もなし、こころもおよばず、言葉も絶えたり・・・あえて喩えるなら ≪ ひかり ≫ そのもの。
   ≪ ひかり ≫ は見るものでなく、わたしにモノを ≪ 見せる ≫ はたらきです。
         いくら目が良くても、ひかりがないと何も見えません。
  自分では見えようがない私の有り様を あきらかに知らせる ≪ ひかり ≫。
       その世界に手を合わせています。

 ・・・・・・・・いつも目に見慣れているあのお姿だけが、仏さまではありません。
  画も文字も記号です・・と言ったら乱暴でしょうか。

  この ≪ コード ≫ も 伝えたい情報が一緒であれば、ご本尊か・・・・・と、鳥肌が立ったわけです。

 しかも、『 何、これ? 』 って、若き子が ピって調べて 『 へ~。 』 って言うのを見ました。
 坊主として嬉しく見ていました。    こういう接し方もあるのか・・と。

   ひょっとして、何かの縁につながるかも・・・ないですか?
      何もないより、何かはある可能性はありますよ。 

 で、この軸も掛っている ≪ 第9回 現代日本画の試み展 ≫・大阪巡回展 in 壽光寺。
11月25日まで開催中です。 (地下鉄四ツ橋線玉出駅2番出口より東へ徒歩7分) 

 15人の画家の作品が並んでおります。   ・・・それぞれの作をここに出してひと言 コメントしたいのですが、了解を得ていませんので・・・・。    あしからず!

西蓮寺十七代住職釈知浩

古書画保存修復師

緑に囲まれた山寺

  春 鳥の声、 夏 蝉の声
   秋 虫の声、 冬 雪の声
 
     ようこそ ようこそ 

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