壁に耳あり、障子にメアリー。

 などという言葉を思い出しながら、障子張りです。     朝から尋常でない暑さにて、体中の水分が汗で噴き出すのを感じながら、40枚分を剥がし ゴシゴシ洗います。  今回は、本堂後ろの客僧用座敷や 人目に触れにくいので見ない事にしていた庫裡の後ろのほうの部屋に着手・・・・止めとけば良かったと思いつつ。

 黙々と単純作業をすると、色んな事が頭の中で踊り始めます。 昨日の事・明日の事・あの人の事・この人の事・・。
 タイトルの しょうもない < ことわざ >?まで浮かんできて、ついでに 子供達の昔話を思い出しました。

 3歳くらいになると、お風呂で < ことわざ >を教えて遊んでいました。
『 サルも木からおちる。 あんなあ・・木登り上手の おサルさんでも、失敗する事があるって事やで。 言うてみ。 』   ・・・ 『 サルも木からおちる。 』   『 そうそう。 おんなじ意味で <弘法も筆の誤り>ってのもあるんやで。 言うてみ。 』 ・・・ 『 こうぼうもふでのあやまり。 』    『 そうそう。 じゃ、次。  犬も歩けば棒にあたるって言うのはやなあ…… 』              

 ひとしきり教えた後、いよいよ 試験です。   さあ、うちの子は賢いか? はたまた 天才か?

 『 憶えてるかなあ? 言うてみよか? まず、 < サルも >? 』 ・・・『 木から落ちる。 』
 『 そうそう! ( やっぱり 天才か、うちの子は ) じゃ、< 弘法も >? 』 ・・・『 木から落ちる。 』
 『 あれ? じゃ、< 犬も歩けば >? 』 ・・・『 木から落ちる。』

    ・・・・・・・・・・うちの子はフツウの子でした。

 でも、フツウの子は 色々楽しませてくれます。
 『 馬の耳に、うさぎの耳。 』  『 急がば、いそげ。 』  『 猫に、こんばんは。 』 
数々の名言で、笑わせ・うならせてくれた事を 思い出させてくれた 暑き障子張りでした。

西蓮寺十七代住職釈知浩

古書画保存修復師

緑に囲まれた山寺

  春 鳥の声、 夏 蝉の声
   秋 虫の声、 冬 雪の声
 
     ようこそ ようこそ 

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